オフグリッドのための住処を探そう 出版#2

オフグリッド生活 地域や住居の選び方

どんな場所でもオフグリッドができるわけではない。まず煙を焚いても迷惑にならない田舎であることが必須条件である。それから太陽光発電をするならある程度の日当たりが必要、水も自給したいなら湧水や井戸のある場所…などいくつか条件がある。これから住居を選定する場合に押さえておきたいポイントをここでは解説していく。また、オフグリッドのハードルを下げる住居についても触れていく。

煙を出しても大丈夫な場所(重要度★★★★★)

まず一番重要なのはコレ。オフグリッドでエネルギーを自給しようと思うと薪ストーブ、薪ボイラー、薪コンロが必須になってくるので当然煙の量は相当なものになる。どんなに性能のいい二次燃焼ストーブでも巡航運転まではどうしても煙が発生する。住宅地、密集地ではまず無理ということは心得ておいた方がいい。あと僕もそうだったけれど「田舎ならどこでも火を焚いていい=煙には寛容だ」と勘違いしていた。今は結構田舎でも厳しい。野焼きしていると近隣住民に通報されて消防署から職員がやってくる。僕も何度か怒られた。お隣さんが近い家っていうのは本当に面倒臭いですぞ。最初は「いいですよ」って言ってくれてても途中で仲が悪くなることもある。だから半径50m以内に住民が住んでない物件を探すのがベスト。

日照時間(重要度★★★★)

電力を自給する場合、ソーラーパネルを設置するのが一番簡単で効率もよい。ただ、これだけは知っておいてほしいのが地域によってかなり日照時間が変わるってこと。太陽光発電において最も重要なのがなんといっても日照時間だ。各県の日照時間のデータを見てほしい。

自作DIYソーラーと太陽光発電で売電・節約・エコ人生様がとても素晴らしいマップと統計を作成してましたので引用します

ランキング30年平均

47都道府県別、日照時間ランキング(30年平均ランキング順)
地方 県庁所在地 日照時間(h) ランキング 地図上の色
中部 山梨県、甲府市 2219.4 1位
四国 高知県、高知市 2175.3 2位
関東 群馬県、前橋市 2139.9 3位
中部 静岡県、静岡市 2137.6 4位
九州 宮崎県、宮崎市 2130.6 5位
中部 愛知県、名古屋市 2128.3 6位
四国 徳島県、徳島市 2114.7 7位
中部 岐阜県、岐阜市 2108.2 8位
近畿 三重県、津市 2098.5 9位
近畿 和歌山県、和歌山市 2094.1 10位
四国 香川県、高松市 2060.8 11位
中国 広島県、広島市 2051.4 12位
中国 岡山県、岡山市 2047.5 13位
四国 愛媛県、松山市 2031.3 14位
近畿 大阪府、大阪市 2028.0 15位
近畿 兵庫県、神戸市 2018.1 16位
九州 熊本県、熊本市 2014.0 17位
九州 大分県、大分市 2013.7 18位
関東 神奈川県、横浜市 2004.8 19位
九州 佐賀県、佐賀市 1980.7 20位
中部 長野県、長野市 1973.0 21位
関東 茨城県、水戸市 1966.8 22位
九州 鹿児島県、鹿児島市 1955.6 23位
関東 栃木県、宇都宮市 1945.5 24位
関東 千葉県、千葉市 1944.3 25位
関東 東京都 1921.5 26位
関東 埼玉県、さいたま市 1906.1 27位
中国 山口県、山口市 1905.0 28位
九州 福岡県、福岡市 1883.6 29位
九州 長崎県、長崎市 1875.5 30位
近畿 奈良県、奈良市 1826.7 31位
東北 宮城県、仙台市 1811.3 32位
近畿 京都府、京都市 1798.1 33位
沖縄 沖縄県、那覇市 1749.9 34位
東北 福島県、福島市 1748.0 35位
近畿 滋賀県、大津市 1742.5 36位
北海道 北海道、札幌市 1736.8 37位
中国 島根県、松江市 1711.8 38位
東北 岩手県、盛岡市 1687.7 39位
中国 鳥取県、鳥取市 1675.5 40位
中部 石川県、金沢市 1674.0 41位
中部 新潟県、新潟市 1656.8 42位
中部 福井県、福井市 1644.4 43位
東北 山形県、山形市 1624.0 44位
中部 富山県、富山市 1621.5 45位
東北 青森県、青森市 1594.2 46位
東北 秋田県、秋田市 1526.1 47位

※各月の日照時間(量)は気象庁のHPより引用して集計したものです。

都道府県別、過去30年の平均日照時間ランキング自作DIYソーラーと太陽光発電で売電・節約・エコ人生

※本の出版時には画像差し替えます

 

また、こちらのやんころりん様のブログには各月・800地点での観測データも掲載されていましたので引用させていただきます。

A平年値動画s.gif

A平年値年間.jpg

やんころりんの楽しく「ラクエコライフ」全国約800箇所日照時間「平年値」マップ月別gif動画

実際に僕は和歌山県(日照ランキング10位)から日本海・石川県(41位)に移住したのだけれどこんなにも日照時間って違うのか!と愕然。いや、春夏秋までは和歌山とさほど変わらないのだけれど冬が全く晴れないんですねー。日本海側によほど思い入れのある方じゃない限りあまりオススメしないです、日本海。魚はうまいけど。

あと、せっかく日照時間の多い市町村を選んだとしても山に囲まれていると短くなったりするので注意。僕は和歌山の熊野という場所に暮らしていたのだけど晴れは確かに多かった。でも周りに山が多すぎて日昇は遅く、日没が早かった。意外と盲点で暮らし始めてから気付いたりするので注意が必要。

屋根の向きと傾斜(重要度★★)

これは大して重要ではないのだけれど、ソーラー発電をする場合、向きによって発電量が変わるという話。具体的には真南を100とした場合、東西が85、北が65になるのでできるだけ南側に設置しましょうねということなんだけれども。

わかりやすい図があったので貼り付けておきます。出版次には差し替えます。

太陽光パネルを設置できる屋根の形や広さ】最適な屋根の向き | 太陽光発電メリットとデメリット

太陽光発電No. 1ポータルサイト 太陽光発電メリットデメリット/【太陽光パネルを設置できる屋根の形や広さ】最適な屋根の向き

まあでも、これは太陽光パネルを増やすことであとから補えることなので、そこまで気にすることではないのかなと思う。少しのお金で解決できることは大して重要ではない。ちなみに太陽光パネルのベストな傾斜角度もあって、それが30°と言われているのだけど厳密に言うと地域によって最適傾斜角度は24〜36度で幅があるそう。下記リンクを参照してみてください。

画像引用 太陽光発電総合情報/太陽光発電の設置角度と発電効率

屋根の傾斜30°、真南向きの物件はオフグリッドにとても有利である、ということは覚えておいてもいいかもしれない。

屋根の専門家が教えます、屋根の勾配(角度)と屋根材の関係 | 横浜の屋根工事、屋根リフォーム、屋根塗装は街の屋根やさん横浜

屋根工事、屋根リフォーム、雨漏りなら街の屋根やさん横浜におまかせください

また、季節によっても最適傾斜角は変わるようで夏至周辺はパネルを0〜5度、冬至周辺は55〜65度に傾けて設置すると日射を最大利用できるそう。敷地が広いなら地べたに設置し、季節によって角度を変えるのも面白いかも。

自然の画像のようです

友人宅

ちなみに太陽光追尾式架台というのがあって、自動でパネルの向きを最適化する装置もあるんだけど家庭用に普及するのはまだまだ先になりそうですね。

車が横付けできる物件(重要度★★★★★)

オフグリッドを目指すなら当然薪中心の生活になる。日々薪をどっさりと敷地内に運び入れる、その量たるや。そして想像してみてください…その薪を担いで、自宅前まで数十メートル徒歩で往復することを。

↑僕が実際に暮らしていた「失敗」物件

軽トラが家の前に横付けできないなんて致命的。薪生活が「イヤにならない」ためにも絶対にこれだけは押さえておきたい。

土間で煮炊きできる物件(重要度★)

僕は広い土間が好きだ。今住んでいる家も広い土間がある。そして、元々床上にあった台所をわざわざ土間に移した。

薪生活というのは木屑やほこりとセットである。つまり、掃除が増える。掃除が増えると幸福度が落ちる。しかし薪機能を全て土間(あるいは半屋外)に置くことが出来たら木屑くらいそこまで気にならない。だってどうせ砂っぽい空間だから。

オフグリッドは「いかに日々の手間を減らせるか」が重要なポイント。広い土間に薪キッチン、薪ストーブなどの薪機能を詰め込むことができたら日々の「掃除しなきゃ」のストレスはかなり減る。実際僕は土間にキッチンを移してから相当快適になった。

僕が尊敬してやまない廃材天国さんも薪キッチンと薪ストーブは土間空間にある。

土間で火を焚くと、火事の心配がないのもいい。少しくらい火が爆ぜてはじけても全然気にしなくていい。

湧水や井戸のある物件(重要度★★)

エネルギーだけでなく水を自給したいと考える人は多いと思う。「雨で生活用水を自給できる」という考え方もあるけれど量、質ともにちょっと不安がある。徳島の「アースシップ」の雨水活用システムを見てきたけれど飲料水レベルに濾過するまでにいくつもの装置を通す必要があり、初期投資とかも考えるとちょっと現実的でない。

この本の「トイレ」の項で詳しく解説するけれど、雨水はトイレとかお風呂とかスポット的に使って「節水」に役立てるという使い方はできるけれど生活の全てを賄うのはかなり困難だと思う。

やっぱり、湧水が豊富な場所に暮らすのがいちばん無理がなくていい。集落単位で湧水を管理しているところもあるし(月額数百円くらい費用がかかったり掃除当番が回ってきたりする)、山の水源からホースで個人宅に引き込んでいる物件もある。水道代が浮くという家計的なメリットももちろんあるけれど、最上流の誰にも穢されていないフレッシュな水をいただくことができるというのは体も喜ぶ。ただし豪雨のあとなどはたびたび濁るしホースがズレて水が突然供給されなくなるなどのトラブルは付き物。

湧水があるのはたいてい「里山」の集落であり、それもかなりの山際(やまぎわ)だ。我が家はさんざん山生活を経験して海派になった。海は気持ちいい。しかし湧水の恩恵は諦めるしかない。そんな我が家には井戸がある。

井戸にも色々レベルがあって、無尽蔵に水を汲み出すことができるものもあれば、一定量使うと尽きてしまう(再度溜まるまで待つ)ものもある。地下の滞水層の低下で死んでしまっている井戸もある。我が家の井戸は生きてはいるがどうやらそこまで貯水量はないようなので風呂用のみに使用する予定だ。井戸付き物件を探すなら、井戸が死んでないかちゃんと調べる必要がある。また、井戸を自分で掘るという猛者もいる。井戸の堀り方については僕は経験したことがないのでこの本には掲載しない(本当は掲載したい)。

温泉に近い物件(重要度★)

エネルギー自給自足するなら温泉地に住め