熊本地震ボランティアに行ってきた

ぼくの地元は熊本県。

今回の地震で並々ならぬショックを受けたのはいうまでもありません。

ただどこか他人事というか「ウソでしょ」みたいな、まさか地元が「被災地」と呼ばれることになかなか順応できずにいました。

こりゃもう見に行くしかない、ということで表向きはボランティア名目でしたが「事実をこの目に収める」というのが大きな裏テーマだったかも。

それは一緒に行った熊本出身の仲間も同じ思いだったと思います。

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おなじみ伊藤シェフを除いてみんな熊本出身のメンバー。

仙台から出発し、名古屋で二人が合流、三重の松阪でぼくが合流。合計4人でのキャラバン。

GWの渋滞を避けるよう、深夜の時間帯で移動。うまいこと、すいすい進みました。

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熊本では仲間である佐藤翼さんの実家を拠点にさせていただきました。

翼さんの家も、パッと見ではあまりわかりませんが震災の被害が及んでいました。

僕らがお手伝いしたのはこのブロック塀の解体。震度6を超える大きな地震に2回も揺すられて下の方からグラグラと不安定な状態になっていました。

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男4人であっという間に解体。

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仲間とやるとワイワイできて苦痛もなく完了しましたが、これを一人で、しかも他にも片付けなければならないものが山積みの状況ではなかなか手をつけられない作業です。

他にも倒れた大型家具などを外に搬出する作業などお手伝いしました。

作業のあとは「熊本城を見に行きたい」ということで、一同城へ。

テープで歩行者も通行止めになっていましたが、遠くからでもわかる崩壊具合。

これね、熊本県民しかわからない感情だと思うんですけど、熊本城ってぼくらの「誇り」なんですよ。

ただの観光地とかいう次元ではないんです。みんなこの場所で育ってきたし、思い出も数え切れないくらいある。

この無残な熊本城の姿にみんな「泣きそう」って言います。誇張じゃなくて本当に泣きそうなくらい悲しいのです。

僕も例外ではありません。ようやく、熊本で震災があったのだなあと実感します。

 

2日目は雨。

みんなで「長期的な支援」のための情報収集の日となりました。

シェフはなにやら美味しそうなものを仕込んでいる様子。

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我々は市内の様子を見に行ったり、「熊本に行くなら」と預かっていたお届けものを届けたりして街をぷらぷらしていました。

市内はごく普通の日常。震災を忘れてしまいます。

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そういえば311の時も仙台にボランティアに行きましたが繁華街は震災の影響はほとんどなく、人々は何事もなかったかのように行き交っていました。

 

家に帰ると美味しそうな香り。シェフのフルコースができたようです。

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美味しいワインとシェフのフルコース。

もちろん、翼さんのご両親とおばあちゃんにも振る舞いました。

一瞬でも、震災の疲れを忘れて気を和らげていただくことができたでしょうか。

料理にはそのような力がありますね。ものすごく喜んでいただけました。

 

そのあとはなぜか街に繰り出す流れ。

災害後に独自に動いている上村元三さんのお店「源zone」へ。

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「社協は危険なことをさせてくれない」「ボランティアは自己責任のつもりでやってくる」「だから俺はヘルメットもたせて崩れた家屋から荷物取りに行かせたりしてるよ」

杉浦恵一、佐藤翼と同じ臭いがする怪しい元三さんでした。この3人で意気投合して何か悪企みが始まったみたい。

 

そのあとは熊本の要人が集まるという「天真爛漫」というお店へ。ママ・ひとみさんの熊本弁トークが最高。

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すっかり気分がよくなってしまった。

このあとMUSICバーでセッションしつつ飲み直し、それから熊本ラーメンで〆。帰宅は朝4時。

 

3日目。無理やり早起き。

この日は益城〜阿蘇の被害状況を見つつ、阿蘇神社の神主さんと会合して今後の流れを考えようという1日。

「益城は別世界だけん。」と聞いてはいました。熊本市内からほんの15分ほどの距離で、まさかここまでとは…。

思わず口をつぐみます。

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国道からパッと見ただけですが、もう街のほとんどの家が住めない状態になっていました。

災害後すぐに役所から建物の状況によって「赤紙・黄紙・緑紙」が貼られるのですが益城ではほとんどが赤紙。「危険」という意味です。住むことは難しい感じ。

 

益城をちょっと抜けるとまた被害の少ない集落へ。

今回の震災がここまで局所的なのかと唖然としました。

 

そのあとは杉浦恵一のばあちゃん宅がある南阿蘇へ。

びっくりしたのは白川水源から徒歩200m!

ライフラインが停止しても水の心配はありません。

ちゃんばー、無事でよかった。

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そのあとは阿蘇神社へ。神主さんのヤタさんにじっくりお話を聞かせていただきました。

突然の訪問にも関わらず暖かく迎え入れてくださり、様々なお話をしてくれました。

「建物は壊れてもお祭りは継続しなければならない」「信仰というのは人々が平和であって初めてできるもの。まずは神社復興より被災された方の生活再建」といった言葉が印象的でした。

 

 

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日が暮れかけてきて、宿泊する「ゲストハウスそらいろ」へ向かいます。

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めちゃくちゃよかった。詳細はまた別の記事にて。

 

4日目。

熊本市内へ帰る途中、幣立神社に寄り道。湧き水と森にいざなわれる。。13180926_1014806108610919_1307001848_n 13153226_1014806078610922_1549152751_n 13180912_1014806085277588_62791771_n 13149897_1014806091944254_1461353864_n 13140898_1014806125277584_872238690_n

お昼は幣立神社のふもとのヤマgenさん。とても素敵なお店でした。

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さて、いよいよ熊本市内に帰ってきました。解体したブロックを指定のゴミ出し場に運びます。

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まだ余力があったのでお隣さんのお宅もお手伝いします。

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また、別のご近所さんの震災ゴミ(瓦)もゴミ集積所に出してあげました。

 

この日の晩は最後ということで佐藤家がバーベキューをしてくれました。

ボランティアがお客さんになってはいけないとはよく言いますが…お世話になりっぱなしの滞在でした。

お父さんの「あの日から時計が止まってるみたいだ」という言葉がとても印象的でした。

見た目はお元気そうですが、精神的に受けたダメージは計り知れません。

 

最終日。

溜まったブロックを震災ゴミ仮置き場まで軽トラで運びます。

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仙台で震災を経験している翼さんはこの光景に「懐かしいわー」といっていました。

たしかに、東北震災の瓦礫の山を思い出します。

熊本が「被災地」と呼ばれる日が来るなんて想像もしてなかったです。

ようやく、この瓦礫のヤマを前にその現実を受け止め始めたことに気づきました。

 

 

これにてすべての作業を終了。なんだか暖かい気持ち。

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結果的にボランティア作業半分、観光半分になってしまいましたが僕はそれでもよかったなと思います。

いろんなところを回って、いろんな人に会って、いまの熊本の状況がだいたい掴めた。

「長期的な支援」のヒントも大いに得られたような気がします。

 

この先どうしようか。ふと現実に戻るとこの大きすぎる課題に途方に暮れそうになりますがしばらくは遠くから見守るしかないようです。しかるべきタイミングで次の動きに入れたらいいなと思います。