オフグリッド(電力自給)を志したことのある方で、テンダーさんを知らない人はいないでしょう。
テンダーさんは「わがや電力 12歳からとりかかる太陽光発電の入門書(やわらかめ)」を2015年に発売し始めて、現在累計1万部を販売。自費出版でこれだけの部数はすごすぎー!この本はいまやオフグリッドを始める人たちのバイブルとなっています。
僕の「オフグリッドゲストハウスikkyu」もテンダー氏をお招きして、電力自給のノウハウを指導していただいて完成しました。日本中あちこちからWSを依頼されてオフグリッド化を進めているテンダー氏。「やさしい革命」を着々と進めている、すごい方なのです。
テンダー氏が講義をしているところ@ikkyu
そう、テンダーさんは僕にとって師匠のような存在。そんなテンダーさんが2017年5月から始めたのが「ダイナミックラボ」。解体されることが議会で決まっていた廃校の校舎を「ちょっとまったー!それ利活用しましょ!」と言って日本最大級のファブラボ(ざっくり言うとものづくり工房)にしちゃった、という事業。
ずっと行きたかったけど、結局オープンから1年半が経ってしまいました。
師匠、お久しぶりです!!
今日は僕が見たダイナミックラボを紹介しますー!
Contents
日本最大級のファブラボ。ダイナミックラボとは?
ゴミが価値あるものに
ダイナミックラボは鹿児島の南さつま市金峰町にある「大坂小学校」跡地を利活用した施設です。
(写真;南さつま市観光協会)
テンダーさんはここを一般市民に開かれた工房として改装しました。でも、ただのものづくり工房ではないですよ?
とあるように環境にできるだけ負荷をかけない形のものづくりができる場所なのです。
廃棄されるものから価値あるものを生み出せるというのがこのファブラボの最大の特徴。中でも廃棄プラごみを溶かして新たな形に射出する「プレシャスプラスチックプロジェクト」が個人でできるなんて、マイクロプラスチック問題が騒がれている昨今において本当に価値のある事業だと思います。
–プレシャスプラスチックプロジェクト/機関紙「地球のこども」
最近はプラスチックから角材を射出して、これで小屋をつくろうとしているそう。廃棄プラごみから作られた家なんてすごすぎロマンありすぎ!
できたよー! プラごみから建材制作開始!
「precious plastic、エクストルージョン完成! プラゴミから建材の制作開始だ!」 https://t.co/c0t5NmRiMeいよいよここまで来た!
#ダイナミックラボ #プラごみ #preciousplastic #マイクラプラ #SDGs pic.twitter.com/uZzhIWhCj6— テンダー / ヨホホ研究所 (@tender4472) 2019年1月29日
他にも製材設備などもあるので廃材から家を作ることもできてしまうそう。
2週間の滞在でモバイルハウスを作ってった人なんかもいるんですってー!
–棟上げして祝完成。モバイルハウスを作ろう!(松本さんの場合)その2
ダイナミックラボを運営する会社はその名も「一般社団法人その辺のもので生きる」。廃材を活かす「そのへん精神」が培われる場所だよ!これぞ持続可能なものづくり。
いやぁ、実際に行ってみるとダイナミックラボにはいろんな機械がたくさん置いてありました!こりゃなんでも作れるわけだね!
(↑木工室)
(↑3Dプリンター)
地球環境に負荷をかけないものづくり
このダイナミックラボの設備は
- 溶接や大型工作機械を使えるソーラー電源の設置
- 3トン以上の雨水利用タンクの設置
- 土壌浄化法やドライコンポストをベースとした下水の浄化システム
- 薪による暖房と調理システムの構築
などなど、環境負荷を与えない設備で運営しています(一部完了してないものもあり)。
「ものづくり」よりコッチに興味ある人の方が多いかも?
こんな素敵なものづくり工房、今まで見たことがないー!もちろん日本初。
–25メートルのバイオジオフィルター完成! これで空芯菜を食べ放題だ!
サバイバル技術から最新技術まで
これだけ見るとテンダーさんは最先端お兄さんに見えますが実は氏の得意技は火おこし。野生の鳥を手で捕まえて捌いて食べるワイルドな一面も持ち合わせています。というわけでサバイバル技術を学ぶWSなんかもダイナミックラボでは度々開催されます。
たとえば狩猟にも使える弓矢を作るWS。
-ヤブツバキからの弓矢作りワークショップ、人生観の変わる2日間でした!
もみ切り式の火おこしの体験ができたり。
–川畑小学校PTAさんご来訪、火起こしと羽ばたき飛行機製作をご体験
それから鶏の解体WSなんかも。
いやあテンダーさんは相変わらずすごいサバイバル能力。と思いきや最新の3Dプリンタ技術で発明品を編み出したり。
–マキタ互換バッテリーアダプター「MGA!」完成。FAB 3D CONTESTに応募だ!
他にもさまざまな知恵をお持ちのテンダーさん。縄文人か宇宙人か、たぶん両方です。
世の中に廃棄されるものを集めて
必要なものは自分でつくるスキルを学ぶ
自然界の恵みをいただく技術も身につける
これってそのまま「生きる力」ですよね。お金がなくても不安のない生き方。そんなテンダーさんに会えるっていうだけでもここに行く価値はあるし、学べることが多いはずです。
[quads id=3]ダイナミックラボに潜入!
この日は曇り空。外はとっても寒い日。テンダー一家が全員風邪でダウンということでダイナミックラボは営業おやすみ中でしたが特別に中を見させていただきました。
エントランスにはテンダーさんやインターン生の作った作品たちが並べられていました。
ダイナミックラボの真髄とも言える、ペットボトルキャップを溶かして射出したタイル!これ僕のトイレとコラボしたいな〜(画像暗くてすみません)
これでご飯も炊けちゃう!アルミ缶ストーブ。
テンダーさんの代名詞「つけひげ」。いまだにコレ作って売ってることにほっこり笑えた。
エントランスはこんな感じ。
こちらはダイナミックラボの真髄。デジタルファブリケーション室。
なんでも作れちゃう空間…男の少年心がくすぐられます。
テーブルには3Dプリンタで作ったであろう作品たちが転がっていた。
めっちゃ勉強してるんだろうなー。テンダーさん。
その他、ダイナミックラボの風景。
僕がみたダイナミックラボ
テンダー氏の一世一代のプロジェクト「ダイナミックラボ」。
廃棄されるものから利用価値のあるものを作り出す「アップサイクル」の最先端中の最先端です。
今本当に世界で必要とされるビジネスモデルがこの鹿児島の片田舎にありました。
これは本当に成功させてほしい!もっと多くの人にこの事業の価値を知ってほしい!
使い捨て文化の対処法を僕はこの場所に見たのでもっと世間から評価されるべきだと思う。
でもこれ、どう見ても一人駆じゃ足りないっす!
そもそもテンダーさん忙しすぎるし。日本中をWSで飛び回ってるし。
テンダーさんとお話しして思ったのですが、
モーリー
ダイナミックラボ、想像以上に規模の大きい施設でありました。
ここにさらに介護予防ジムやくるくるショップなど、当初のビジョンを達成するにはかなり労力と投資を要するだろうなということは容易に想像できるところでありました。
テンダーさんは日本中を飛び回ってWSや講演などの依頼が絶えないのでたぶんなかなか現場に集中できないだろうなぁ、ということも想像できる。いや、テンダーさんという人間国宝は現場にとどまるべきではないので、じゃあ現場でぐいぐいとプロジェクトを押し進める人物、つまり有能なNo.2が必要だ!
俺か!?俺なのか!?
はい、調子に乗りました。でもこのビジネスモデルの完成形を僕は早く見たい!テンダーさんの右腕となる人が現れますように…。
とはいえすでに持続可能なものづくり工房としては機能していたり、シェアオフィスとして入居している作家さんがいたりなど基本的なところは回っているのでこのままで十分すごい施設です。
ダイナミックラボ営業案内
営業日とお値段
ダイナミックラボは予約制にて土日10:00〜17:00営業。
1日使用券は1500円で、ほとんどの機械を使用してものづくりができます。
毎月第一月曜日は「かごしま修理カフェ」
「みんなで直すものを持ち寄って、知恵を出し合い力を借りながら直しましょう。」ですって!
うわー持っていきたいものたくさんある!!
詳細→壊れたものをみんなで直そう! 毎月第一月曜は「かごしま修理カフェ」
WS体験
予約制でWS体験もできるようですよー!火起こし、鶏の解体、3Dモデリング講習、オリジナルTシャツ制作などなど。
宿泊
宿泊もできちゃのがすごいところ。長期滞在で心ゆくまでものづくりに挑戦できる!
宿泊費用はドネショーン(感じた価値分のお心付け)でご利用いただけます。
※ 業務として宿泊を受け入れているわけではありません。よって、自分たちにとって望ましくない滞在だとスタッフが判断した場合、ご利用をお断りすることがあります。あらかじめご了承ください。
アクセス
場所:〒899-3402 鹿児島県南さつま市金峰町大坂3430
電話:0993-78-2222
駐車場:100台まで