どうも、今度バイオガストイレを阿蘇のキャンプ場様に導入させていただくことになりました、モーリーです。
クラウドファンディングでは33万円ほどの応援金をいただきまして、力がみなぎっております。
↑自作のクラファンサイトにて支援を募集。http://solar-kaitai.com/product/biagas
さて、いよいよ来週から施工が始まるということで設計を詰めていかなければなりません。
今さらですが改めて、バイオガストイレを設置するための情報収集をしていますのでそれをこの記事にまとめていきたいと思います。きっと、これからバイオガスに取り組む人が増えると信じて。
Contents
これまでやってきた実験
今まで浄化槽タンクにローリータンクを使って実験をしたことが2回あります。
↑こちらの実験はうまくいきませんでした。風船が膨らんでこないのです。どこかからガス漏れしているか、あるいは投入量が少なすぎたのが原因かもしれません。
また、スターターには鹿の胃袋を使いました。メタン菌豊富な匂いがしました。
まあ普通に牧場から乾燥した牛糞をもらってくるとかでもよかったかもしれません。
そして2回目に実験したのがこちら。
これは4つのタンクを連結していて、浄化槽のように分解された上澄が次の部屋へ移動するという仕組み。
こちらは友人宅に設置させてもらったのですがまだその後の報告がありません。そして動画を見てもらったらわかるのですが制作が結構大変でした。防水措置と気体漏れ防止がなかなか難しいです。
既製品があったら使いたいなーというマインドに。
中国からキットを直輸入
日本ではバイオガストイレのキットなど売っていませんので中国で探しました。
ソリッドな浄化槽ではなく、PVC製の袋です。
キットには配管部品なども入っていて、もろもろ合わせて10万円以下くらいでした。
商品代が580ドル、送料が190ドル、それに日本での関税などが1万円くらい。ちょうど10万円って感じですかね。
商品が1ヶ月くらいで届いたので開封してみました。
思ったよりPVCタンクが丈夫そうで安心しました。ちょっとでも穴が開くともうガス集められないので。
あと開けてみて「ガス用のタンクがない!」ことに気がつきました。ううーむ、これは自分で用意してねってこと?
あるいはこのタンク自体が浄化槽とガスタンクを兼ねるタイプなのか。
あと謎の圧力計が付属。どうやって使うのか、調べなきゃ。
これを仕入れたメーカーはこちら。
バイオガストイレの設計
さて、モノは揃った。
あとはこれをどうインストールするか、であります。
まずトイレ小屋は友人の高橋素晴さんに作ってもらうことになりました。
イメージはこんな感じで、高床式+ウッドデッキになっています。
小屋の床下からトイレ配管をPVCタンクに接続するわけなのだけど、タンクを完全に地中に埋設するのか。
あるいは、地上設置にするのか。
どちらも懸念事項があります。
地中埋設の場合。獣などが誤って穴に落ちてPVCタンクに穴を開けちゃう恐れはないか。
地上設置の場合。日光による劣化。その他さまざまな外敵からの攻撃。
先人たちの事例を見てみる
わたなべあきひこさんのメモ
「バイオガストイレ」と検索するとわたなべあきひこさんのブログが上位でヒットします。
このオフグリッド業界では知らない人はいないほど有名な人です。たくさんの知識を惜しみなく伝えてくれる方で僕も大変お世話になっています。
あきひこさんのFB→https://www.facebook.com/akihiko.watanabe.5264
そんなあきひこさんが「おおえまさのりさん」のバイオガスの見学に行ったという記事がありまして学びをシェアしてくれています。
このメモの中で気になった点がありました。
「水の量が少ないので水勾配は2/100にしてある(普通は1/100)」の部分です。
勾配1/100とは100センチの長さで1センチ分の落差をつけるという意味。うおお、こんなに傾斜ってゆるやかなんですね。
あまりに傾斜が急だと水ばかり先に流れて固形物が配管内部に残ってしまうそうです。
なので最大2/100くらいにしとけよっていうのがネットで見た見解でした。なるほど。知らなかった。
また、浄化槽オーバーフロー分が液肥タンクへ移動する際に一度山越えしているのが興味深いな、と。
浄化槽タンク内のガス圧でこの山を乗り越えるようなのだけどストレートに液肥タンクに移動させない理由とは?
もしかしてここで過剰なガス圧を抜いているのだろうか。
だとしたら水面より何センチ分の山の高さが必要なのだろうか。
うーむ、ここはちょっと調べて追記することにします。
ビンさん宅のバイオガストイレ
バイオガストイレを実際に使用し11年が経つ村本ビンさんファミリーに取材に行かせていただきました。
実際にバイオガスから炎が上がるところを見学できて、感動というか、ホントに出来るんだ、と現実感を初めて味わった現場となりました。
さて、こちらでは浄化槽タンクにビニールの筒を使っているとのことでした。直径1mの筒を8.5m、地中に敷設。
詳しい構造などは動画の後半を見ていただければとおもうのですが、気になるポイントは3点。
ポイント①逃し弁が面白い
村本さん宅のシステムで面白いなと思ったのが、ガス圧の逃し弁の構造。
配管の途中にチーズを噛ませてペットボトルの中にパイプを垂直に仕込み、そのパイプの先端から5センチ分水を満たします。
すると5センチ分の気圧で弁が働きます。
5センチ気圧以上にガスがパンパンにたまるとここからポコっとガスが抜けます。
これによりガスタンクの破裂を防止します。
なんとも原始的というか、面白くないですか?
ポイント②投入パイプの角度は45度
さて、前項「わたなべあきひこさん」の記事と相反するのですがトイレ便器から浄化槽へつながるパイプの角度は45度がいいそうです。(わたなべさんの記事では2/100でしたね)
「途中で詰まらないような角度」が45度ということでした。
むむむ、どちらを採用するか悩みます。
ポイント③発酵槽は傾斜をつけるべし
便器から発酵槽につながるパイプ。その出口にいちばん固形物が溜まります。
固形物を含む液体ができるだけ奥へと移動するように傾斜をつけてあるそうです。
なるほど、これはちょっと思いつかない視点でした。
注意点
この村本さん宅で解説がなかったのですが、バイオガス利用には「脱硫装置」が必須だそうです。
メタンと共に、有害な濃度で硫化水素が発生するそう。
機密性の高い部屋でこのバイオガスを使用すると非常に危険です。
脱硫にはスチールウールなどを使用した酸化鉄がよく使われています。このあたり、もう少し詳しく調べて追記します。
海外の情報
やはり日本語で情報を探すのに限界を感じて海外のブログや動画を漁ってみました。
こちらの図解で面白いなと思ったのはトイレ配管を分岐して動物の糞(その他なまごみ)を入れる経路を追加しているところ。
(やはりこちらのタンクも傾斜をつけていますね)
それからDigested sludge collection tankが発酵槽よりかなり高い位置にあるのだけど、ガス圧でこんなに水を持ち上げられるものなのか?
こんなに持ち上げるとしたらものすごいガス圧が溜まっているような。おそらくこんなに水位差は出ないはず。
そしてこちらはとある大学教授の論文より。
家畜の糞と人間の糞を一緒にしています。やはりガスをガチで自給するためには家畜が必要みたい。
そしてこの家ではがっつりとキッチン、風呂の熱源としてバイオガスが利用される設計になっています。
う、美しい…
あとオーバーフローの取り出し口の「biogas residue(のこりかす)」が何を意味するのかちょっとわからないです。
が、「agricultural systemへ」みたいな矢印が出ているのでbiogas residueは液肥のことで、これを汲み取って畑に撒くって意味なのかなーと。
それからこのシステムは発生したバイオガスで発酵槽内部を温めるシステム。
発酵槽を温めることで発酵を促し、より多くのバイオガスが得られるというわけ。
このバイオガスヒーターシステムは絶対あったほうがいいだろうな。特に冬なんかは微生物全然働かないだろうから。
こちらは日本でも話題になったイスラエルのスタートアップ企業が開発した「Homebiogas」。
まとめ
ざっとみた感じこんなところでした。
もっと重要だと思う情報があれば追記します。
とりあえずもっと知識を深めるためにこれからこの2冊の書籍を読んでみようと予約したところ。
また新たな知見を得たら記事に改めてまとめてみます。
また、阿蘇のトイレ設置が3月21日〜なので、そこで実際に施工してみたらまた新たな知見を得られるでしょう!
もう少し時間があるのでしばし予習を重ねたいと思います。
施工の様子はyoutubeにてアップします。それではまた!