クラウドファンディングの裏側

2017年があけた。今年の目標は別の場所に書くことにして、何卒本年もよろしくお願いします。
さて、昨年末にフェイスブックなどでのタイムラインでさんざんお騒がせした、クラウドファンディングのことをちょっと書き残しておきたい。

いまぼくが立ち上げようとしている「オフグリッドゲストハウス」の開業資金をクラウドファンディングで募った。
CAMPFIREやREADYFORなどの有名サイトを使用せずにこのサイト内での募集をかけた。

参考 http://ecobaka.com/19fund/

きっかけは昨年10月にオフグリッドワークショップでお招きしたテンダーさん。彼は以前、独自サイト「ヨホホ研究所」でクラウドファンドをして135万円の調達に成功している。

参考 http://yohoho.jp/16420

「もーりーも自分でやってみなよ!」という言い方の中に、「お前なら出来る」という期待も込められていたような気がして、それが嬉しくて真似してみたかった。うん、テンダーさんはここ数年でいちばん「こうなりたいな」と思える理想像だった。

でも本当はクラウドファンディングなんてやりたくなかった。
ここ数年なにをやってもうまくいかなくて失敗癖のようなものがあったし、うまくいかなくてまたひどく落ち込むことに恐怖を感じていた。それにオフグリッドの宿だなんて大それたことを自分が本当にうまくやれるのか。大風呂敷を広げる怖さもあった。

でも、やらないと資金が足りない。
もう、貯金はぎりぎりのところまできていた。事業予算がとっくに尽きて、自分の給料に手をつけ始め、家庭に生活費を入れるのを「もう少し待って」と先延ばしにせざるを得なかったり。そういう状況だったから四の五の言ってられなかった。必死で文章を書いた。何度も書き直した。目標金額は大きく出て100万円。独自サイトだから特に達成しないと返却されるみたいな変なペナルティもなかったし、「とりあえず大きく出といて損はない」という気持ちで100万円に設定した。

ちなみに、独自サイトだから「文章さえ書けば良い」というものではない。システムを構築するのも自分。
決算システムではカード決済とコンビニ決済と両方使えるようにした。paypalとspikeというサービスを使った。わからない人のために「決済のしかた」というページを作った。infogramというgraphicサービスを利用して現在の支援額が視覚的にわかるようにした。かけた時間はたぶん 文章:システム構築=6:4くらいだったと思う。このシステム構築の時間を省けたらどんなに楽だったろう。大いに勉強にはなったけど。

11月の下旬、満を持してフェイスブック上で発表。
最初の2、3日は調子がよかったものの、その後はしゅんっ。と低迷。
クラウドファンディングを以前やったことがある熊野の先輩から「個人的にメッセージするんだ!遠慮は禁物!」と言われてなるほどと思っていろんな人に連絡をした。でも久々に連絡をしたかと思えば「金くれ」だから、印象はよくないよな…と思ってなんだかつらくなって途中でやめた(アドバイスをくれたYさんごめんなさい)。日頃の人間関係の希薄さを反省した。でも本当に泊まりにきてほしい人には「あなたにはどうしても泊まりにきてほしい」と伝えてリンクを送った。それはもうたくさんの女子に送った。なんてことは決してない。3:2くらいである。

ようやく頑張って12月中旬くらいに20万円に達した。実は内心ではあと10万円で目標達成だった。30万あればなんとか形にはできると思っていた。
そうしたら、学生時代の同期から10万円の寄付があった。かつてお互いの「平和」の価値観をぶつけ合い、激しく言い合ったことのある特別な友人である。そんな彼から今の活動を認められたような気がして、とても嬉しくなった。とともに火がついた。ここで満足していてはいけない。文章が完全には納得できるものではなかったため最初から書き直した。文章を書き直すのにまる二日かけた。ようやく納得のいく文章ができた。ビジュアルにもこだわった。そうして12/22、締め切り10日前に再度フェイスブックで発表した。

それからがすごかった。
連日問い合わせや入金のお知らせが相次いだ。ご支援ありがとうのメールを送って(もちろん自動ではない)、またメールボックスを開くと次の入金のお知らせが入っている、それが一日中続く。そんな状態だった。それまでぼくの知人ばかりだったのが一変、会ったことのない人からの支援の方が多くなった。
それはたくさんの人に「シェア」してもらったからだ。最終的には2000シェアまで伸びたようだった。

残り3日の時点で集まった支援額は80万円となった。ゴールが現実的に見えてきた。再度フェイスブックにて宣伝。ひとりひとりの支援額が変わってきた。それまで5000円コースや10000円コースが多かったのが、20000円コースが一気に増えた印象。このプロジェクトを「達成してほしい」という願いが伝わってとても嬉しかった。ゴールまで一気に近づいた。

そして運命の最終日、15時。ついに目標を達成!
感謝の思いがあふれると同時にどっと疲れも押し寄せた。この数日間、パソコンにかじりつき、気を張りつめていた。ふと気を抜いて最初に思ったのは情けないことに「これでなんとかカッコがついた」ということだった。ぼくは世間体とか人からの評価を気にしすぎる。

最終的に79名の方からのご支援、そして107万円の支援金が集まった。
本当にこれは当初予想もしていなかった。こんなにも、多くの人から賛同をえられるとは思いもしなかった。北は北海道、南は鹿児島から宿泊券の購入があった。やはりぼくがここ数年思ってきた「オフグリッドの生活に触れてみたい」という思いを抱いている人が世の中には結構多いんだと感じた。ぼくがただ「これやりたいな」と趣味的に考えていたこの事業がクラウドファンドを通してぼくの「使命」に変わった。とはいえ重圧は感じていなくて、ささやかな緊張感がむしろ心地よい。

多くの人に応援していただいて、いま事業は一気にスピードをあげて進行中です(お金の力ってすごい)。
2月にゲストハウスオープンできるよう、着々と準備を進めてまいります。

ご支援いただいた皆様本当にありがとうございました。

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考察〜クラウドファンディングに挑戦することを考えている人へ

ぼくのプロジェクトで拡散力が強まったのは「文章力」につきると思う。1から書き直してからの拡散の仕方が全然違った。文章一つでこんなにも違うんだなと驚くばかり。CANPFIREとか有名サイトを利用するのはいいけれど、その手数料で「文章校正」までしてくれるサービスならば手数料を支払う価値があると思う。それからシステムもあらかじめ構築してくれてるから、うん、やっぱりそういうサービスを利用する方が楽ではある。
手数料も安いところは5%くらい。ぼくはペイパルを使ってたからだいたい入金額の4%くらい取られる。そう考えるとほんの1%の差でシステムもすでにあって、情報発信も得意とするサイトを利用する方がメリットは大きい。損得で考えると。
ぼくの場合はWEBの勉強という意味合いも大きかったし、ぼく個人の発信力を高めたいという思いもあったから、独自サイトでのクラウドファンドを選びました。オフグリッド生活もそうなんだけど「自分でやる」ってことは「何かを手に入れる」ってことにつながる。時間はかかるけど、得たものは大きい。

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暴露

ぼくがCAMPFIREではなく独自サイトでクラウドファンドしようと思った本当の理由。
それは

  • 「失敗したら『やっぱり個人サイトでは限界があったわー(CAMPFIRE使ってたら達成してたかもね)』と言えること
  • 成功したらCAMPFIREで達成するより数倍カッコいいこと

という理由によるものです。ああなんとカッコ悪い。
俺、そういうの好きじゃないよ。逃げ道作っとくみたいで。%e3%81%82%e3%81%be%e3%81%95%e3%82%8f%e3%81%9b%e3%81%84%e3%81%97%e3%82%99