僕たちは便利の裏側をあまりにも知らない。
リチウムイオン電池が普及してiPhoneなどスマホが実現した訳だけど、採掘の背景や使用後の処理法も知らない。そういったところにスポットライトを当てよう。
便利の裏側。— オフグリッドライフ発明家のモーリー (@yusukemori87) 2018年10月11日
スマホが登場してとても便利な世の中になりました。モバイルバッテリーやポータブル電源は小型軽量で大容量なので電気を持ち運べる時代になりました。
この便利を支えているのは「リチウム」です。リチウムイオンはこれまでのスタンダードであった鉛をはるかに越える密度で電気を蓄電することができるのです。
今日はそのリチウムの「裏側」に関するお話しです。
リチウムとは?原産国は?
リチウムの特徴
リチウム(Lithium、元素記号:Li)は、原子番号3番、原子量6.941のアルカリ金属類に属する元素です。銀白色のやわらかい金属でナイフで切ることもでき、また金属類の中で最も比重が軽い金属です。反応性が非常に高く、空気中でも窒素と容易に反応して窒化リチウム(LiN3)ができてしまい、また水と反応すると激しく燃焼するため、保管する際は油やナフサ、アルゴンなどの中で保管しなければなりません。またリチウムは強い腐食性・炎症性をもつ激毒物であり、人体に有害なので取扱いには十分に注意する必要があります。
ー引用;リチウムイオン電池の豆知識より
リチウムはイオン化傾向のもっとも高い物質。そのため非常に高い反応性のために単体としては存在しておらず、溶融塩電解によって化合物を分離して精製します。リチウムは金属の中でもっとも酸化還元電位が低いため、エネルギー密度の高い物質です。
埋蔵量と分布
リチウムは地球上に広く分布していて、地殻中で25番目に多く存在する元素で、海水中にも多く含まれています。火山由来の岩石中に高い濃度で含まれていて、中でも花崗岩中の濃度が最大。リチウムはアンデス山脈沿いに偏在しており最大の産出国はチリ。ボリビアのウユニ塩湖には世界最大の埋蔵量があると言われていますが技術的、政治的な問題によりリチウム生産の事業化には至っていません。
需給のバランス
米国の地質調査所(USGS)によると、2008年のリチウム産出量は2万7400トン、2015年には3万2500トンを達成した。そして、2020年には6万トンの産出が見込まれている、と報告している。
一方、リチウムの需要については、Global X Lithiumによると、2020年には29万トンから40万トンの需要が見込まれると予測されている。
世界の推定埋蔵量は1300万トン。今後電気自動車でのバッテリー需要が増えると急速に枯渇へと向かいそうです。
リチウムを巡る社会情勢
近年リチウムイオンの需要が高まるにつれてリチウムの単価が高騰しています。2002〜2018年で価格は10倍にも跳ね上がりました。高まる需要と値段高騰を見越してソフトバンク社は現地リチウム生産会社に巨額の出資をして経営権を押えたり、日本では新たに海水からリチウムを分離する方法なども研究が進められたり、リチウムをめぐる動きはますます加速するでしょう(戦争とかにならなきゃいいな)。
appleではリチウムイオンバッテリーの正極に使用するコバルトを押えにかかっています。しかしこのコバルトの採掘は過酷な環境で児童労働などがされているようです。
appleのスマホを使用する者としてこういう事実は知っておかなければ。今持ってる貴重なスマホを捨てる必要はないけど、次に買い替えるときの参考に。https://t.co/RWnZbUGU6J
— オフグリッドライフ発明家のモーリー (@yusukemori87) 2018年11月5日
続きは次回!
1記事にすべてをまとめるとかなり長い記事になってしまうので今日はここまでです。次回はリチウムイオン電池のしくみを調べたいと思います。鉛蓄電池と比べてどっちがどうなの?といった内容になるかと思います。
スマホやポータブル電源を通じてリチウムに普段からお世話になっているからこそ、裏の事情までちゃんと知った上で使いたいものです。