近年急速に「サーキュラーエコノミー」が普及してきました。
そのなかでも「廃棄されるもの」を使うビジネスが特に注目を集めています。
オランダの廃棄食材レストランinstockは2014年から始まり、これまで3店舗に数が増えているようです。
Instockは「まだ食べられるにもかかわらず廃棄される食材」を地域のスーパーやベーカリー、生産者の元から低価格で購入・回収し、調理しているレストランです。(中略)Instockではただフードロスの食材を扱うだけでなく、他のレストランで腕を磨いた一流のシェフが調理を担当しているのです。Instockは廃棄される食材を低価格で調達しているため、通常のレストランではとても手が出ないような一流シェフのランチも破格で提供できるのです。
また、高知で「笹の家」を運営されているマクロビック料理家・中島シネマさんは「もったいないカフェ」として廃棄される食材で数十種類の料理をつくってビュッフェ形式で提供しています。飲食の価格は「ドネーション」方式で、ご自身で決めるというスタイルです。
この時は何と44品もあったそうですよ!!-廃材天国.com
まさにこれ、ぼくが2011年にやってたことなんです。短い期間でしたが、1ヶ月の営業×2本で合計二ヶ月間やってました。
廃棄食材をかき集めるのには非常に苦労しました…仕入れ担当だった僕は卸売市場、農家さん、八百屋さん、いろんな方を夜中まで訪ねて走っていた気がします。そんな僕がその後廃棄食材に関わることを辞めてしまった理由を今日はお話ししたいと思います。
Contents
「エコ」が目的ならレストランでの廃棄食材利用は最適解ではない
※しばけんさん、写真拝借しました-しばけんの100%ブログ
環境負荷がゼロではない
この活動を続けているうちに二つの疑問が湧いてきました。
まず、廃棄される食料を回収するのに使用するエネルギーが大きいということ。
そこは大いに考えるべきよな。「無理やり」廃棄のもの使ったってエコではない。俺も廃棄食材カフェをやめたのは輸送にかかる燃料を考えたときに「これはエコじゃない」と思ったからだし。
— オフグリッドライフ発明家のモーリー (@yusukemori87) 2019年2月4日
廃棄食材をかきあつめるのに僕は多方面を車で走り回っていました。そのガソリンを燃やすという「環境への負荷」を上回るだけのgreenな効果が廃棄食材活動から得られるのだろうか、そこが疑問としてずっと心の中にありました。
結局廃棄食材は減らない
日本に暮らす人(購買力のある人)の全体の食料需要をひとつのコップに例えます。それに対して供給は、需要よりも大きなコップ。
日本で暮らす人々の需要を満たしても、あまりある食料。この部分が、廃棄となります。
で、廃棄される食料をぼくたち購買力のある人が食べるってことは…
いっぱいだったコップにさらに水を注ぐようなもので、結局こぼれた部分は廃棄になるわけです。
需要の量と、供給の量は一定だから僕らが廃棄食材を食べたところで廃棄の総量は変わらない。
廃棄される食料を購買力のある人が食べたところで社会全体としての食料廃棄量は減らないわけです。
ガソリンも使う、廃棄の総量も変わらない。そんなことを考えると僕は心も体も消耗してしまって、廃棄食材レストランは辞めてしまいました。
購買力のない人に廃棄分を届ける=フードバンク/こども食堂
廃棄食材の一番の活用方法は、購買力のない、社会的に弱い立場にある方に配布するということだと思います。日本ではセカンドハーベストジャパン(その他各地のセカンドハーベスト)さんが活動しています。
この活動はいいね。
ファミマがこども食堂 3月から全国2千店、イートイン:朝日新聞デジタル https://t.co/xjMdWBz4zM— オフグリッドライフ発明家のモーリー (@yusukemori87) 2019年2月7日
家畜の飼料、堆肥化
家畜の飼料や、堆肥として、食べ物が「命」として他の生命を育むことに使われるのならオールOKだと思う。燃やして灰にしてセメントの原料なんかにしてはだめです。
資本主義の裏側https://t.co/Nz8CqbhlzH
— オフグリッドライフ発明家のモーリー (@yusukemori87) 2018年12月26日
「家畜に食べさせるなんて/土に返すなんてもったいない」という意見はすごく人間主義的です。食べ物という命は、土に返せばやがて腐って、次の生命を育むのです。自然界に無駄でもったいないことなんてない。
だから言ってしまえば廃棄食材レストランって、もし「ソーシャルグッド」を前面に押し出すなら僕は見せかけのソーシャルグッドだと思う。「食材がタダで手に入るから」という経営的な観点で取り入れるのは大いにアリだと思う。
とはいえinstockさんももったいないカフェさんもすごく素敵な取り組みだと思います。僕も最近またやりましたし。笑
あまったーる食堂、終了しました!やっぱり難しいこと抜きにして、捨てられてるとわかっているものをレスキューするのは気持ちがいいものなんです。
サーキュラーエコノミー、いま世間が求めているビジネスだと感じる。廃棄食材に関してはこの先もう一歩進んで、廃棄される生ゴミや食材が全て土に返されるという仕組みができあがればいいなと思います。そうしたら「廃棄食材を食べよう」という必要性もなくなってくるはずだから。