古民家崩壊…。地震のあとの近況報告とこれからについて。

どうも、モーリーです。

能登半島地震から5ヶ月が経ちました。人生で始めて被災を受けて、思ったこと、特に住居についてなどをまとめようと思います。

この記事の内容はほぼこちらの動画と一致しています。が、文章の方が面白いです。

元自宅の古民家、壊れる。

僕のyoutubeなどを見てくれている方々はご存知かと思うけれど、私は能登に移住して古民家をセルフリノベしまくっていました。

「オフグリッドを実現しつつQOL高く」な暮らしを実践するために3年間めちゃくちゃ改造しまくった古民家。

オフグリッドもかなりいいところまで実現していたし愛着もあったのだけれど、貸してくれていた大家さんと色々うまくいかず、退去せざるを得ないことになりました。

この時の心境を動画内でも言ってますが正直なところこの時僕は追い出してくれた大家さんに感謝しているんです。

追い出されでもしなかったら、僕らはずっとこのままこの家に住むことになっていたと思います。

実はこの古民家への違和感というか、立地もそうなんですけど、この家の重大な欠陥みたいなことに薄々気がついていて。

住んでいた3年の間にもどんどん家の傾きは大きくなってきていたし、筋交もなければ壁であるべき部分が全部建具で今の基準に照らすと明らかな強度不足だった。


↑建具を取っ払って壁にしたり。

ここに永く暮らすことを考えた時に「ちょっときついな」という思いがあったんです。

3年住んだあと、僕がこの家を買いたい理由ってもう【ここまで手を入れちゃったからこのままこの家買わないともったいない】これしか残ってなかった。

だから大家さんに出て行けと言われた時、ちょっと救われたような、割とスッキリとした気持ちがあったんです。

もちろん大家さんへの恨みもありましたよ、約束を裏切られたわけなので。でもこの家への固執はほとんどなかった。

要は、古民家とひとくちに言っても【程度の低い古民家】だったんですよねぇ。

で、結局今回の地震でこの家は大きく傾き、今にも崩れそうになっています。中をみると柱が数本折れていて、立ってるのが不思議なくらい。僕の寝室に至っては完全に潰れています。退去してよかった。追い出してくれてよかった。大家さんほんとにありがとう。

瓦屋根の古い家ばかりが潰れていた

今回震災を受けて、被災規模の大きい地域も見て回って感じたことは【耐震基準って大事だな】ってこと。

今回潰れている家はだいたい古民家ないし古い家。古い家はそもそも「耐震」の概念がなく当然の結果だったのかもしれない。

日本ではこれまで3度ほど耐震基準が制定されている。

1971年〜旧耐震=震度5まで耐えられる
1981年〜新耐震=震度6〜7でも倒れない
2000年〜直下型地震のような強い上下動であっても柱と土台や筋交いがはずれないように接合部に金物を取り付けることを義務化、耐力壁をバランスよく配置して安全性を高めた建物にすることなどが要求されています。

で、今回まだデータって上がってきてないと思うんですけど僕の見た所感では、震源の珠洲・正院地区で無事だった家ってほんの一握りなんだけど、その数少ない「立ってる家」を見ると9割がた2000年以降建てられたっぽい、新らしめの家だったんだよね。耐震ってやっぱり大事だなって感じたよね。

昨今古民家ブームってあるじゃないですか。まあ僕もブームに乗っかった一人だったのだけど。でもね、古民家って本当に耐震性ないのよ、今回本当にこれを実感した!古民家のデメリットはいくつか言ってきたけれど、耐震性のリスクって結構根深いなと思えてきて。あんまりみんなこの部分考えないじゃん?

でもね、現実を言うよ。

古民家民宿カフェをオープンしたばかりのジビエふじこさん。建物全壊で借金だけが残ったそう。

写真の説明はありません。

すんごいバッチリ直していい感じだったのに、、、

写真の説明はありません。

耐震を無視するってことは財産を失うことに繋がりかねないんだよね。

失うのがお金だけならまだ取り返す余地があるからいい。これが、大切な人の命だと取り返しがつかない。このリスクを孕んだ古民家にそれでもあなたは住みますか?あるいは、このリスクを回避するための耐震工事に500万円ポーンと払う財力はあなたにはありますか?

今回家に潰されて死んじゃった人や、瓦礫の下から生き延びたけど大怪我負った人が知り合いレベルで数人いる。潰されない・死なない家ってだいじだなと。2000年耐震基準、超優良。我が家は古民家を卒業した後は2000年基準の築20年自宅を520万円で購入して暮らしています。

とか言いつつ、結局

ということで、この築20年の家に1年くらい住んだのだけどまあ面白くないです。

で結局今は向かいの納屋を改装してそっちで暮らそうと思っています。

結局古い家かよ!さっきまでの話は何!?って感じですが、この納屋に関しては屋根瓦を下ろしてガルバリウムに張り替えているので、かなり軽量化されていて建物が潰れるって言うことはないかと思われます。筋交も補強しています。

あと壁面をコンパネで一面補強しているのもかなり耐震性能上がった気がする。

今はこの納屋で、えこばか式オフグリッドを全て詰め込んで僕の理想のライフスタイルを表現しようとしています。

【屋根の軽量化さえすれば、潰れることはないし、住める。】と思ってる。

屋根さえ軽ければ耐震工事はある程度でいいんじゃないのかな。

大事なこと

今回大震災に被災してみて思ったのは、何よりも大事なのは「潰れない家に住む」っていうこと。古い家に住むリスクを改めて感じた。建物も大事だけど、地盤も大事。砂地は弱い、岩盤は強い、埋立地は最悪、とかね。築3年の物件が傾いて泣く泣く退去する知人がいたので新築するなら地盤はちゃんと調査しよう。

そして、災害後は水の確保が大事。敷地内に井戸がある物件を購入するとか、山水が採取できる場所に住むとか、とにかく生き延びる上で水源確保が最優先。なんせ断水が3ヶ月も4ヶ月も続いたので相当大変だった。特にトイレ風呂。みんなトイレを流すのにとっても苦労してたね。一度に10リットルもの水を流す設計は時代錯誤で罪深い、コンポストトイレに変えればいいのに。

あと個人的に思ったのが、これが今回能登半島だったから死者がこれだけの数にとどまっているけれども、これ都会で同じ期間断水したら死者が相当数出ているだろうなっていうこと。能登は自然豊かであるがゆえに水がどこでも湧いていて確保しやすい。人口が少ないから少ない資源でも十分に養えるし分け合う余裕がある。物流が止まっても魚介類はいつでも確保でき、多くの家庭で米が備蓄されている、など生き延びるのにかなり好条件な土地・生活様式であった。田舎暮らしの強みを改めて感じた。

都会で同じ規模の災害に被災したことを想像してみるとゾッとします。映画サバイバルファミリーの世界です。田舎は生き延びる確率がぐっと高まります。

生存戦略としての田舎暮らし。田舎はやっぱりいいなと感じた。これから家を買う・拠点を探すと言う方はぜひ①2000年以降の建築②地盤硬くて強い③敷地内に井戸④生産力の高い田舎。という4点を満たす場所を探すといいんでないだろうか。(⑤原発から遠い場所)

あと僕らは家をいくつも持っていたので断水が発生した時にセカンドハウスに逃げ込んでそこで2ヶ月ほど避難生活を送って状況が落ち着くのを遠くから見ていた。これ(家を複数持つこと)が災害時結局いちばんよかった。自宅以外に家を所有し、民泊等で普段運用していく。もし何かあればそこに逃げ込む。災害からは逃げるが勝ち。家を複数の地域で所有すること、これが実はいちばんのセーフティネットとなる。モバイルハウスやキャンピングカーを所有してもいいかもしれないね。

まとめ

そういうわけで、被災を受けて僕がみなさんに共有できる有益なことは「古民家は死ぬ確率高いぞ」ってこと。古民家はブームだしyoutubeの再生数も回るしインスタでいいね押されやすいし、何より住んでいて楽しい。でも古民家を潰れない家にちゃんと改装しようと思ったら耐震工事だけで500万円。「安全に住めるようにする」という当然の基準を満たすためだけに数百万円あなたはポンと出せますか?耐震だけでなく、さらには断熱改修に追加で数百万とまあ「普通に住める」レベルにするだけで1000万円くらいは必要なわけです。古民家はお金持ってないと無理なのよね、ほんとに。僕のように貧乏人の古民家暮らしは不可能ではないにせよ寒さにガタガタ震えると言うような無理が伴うのでQOLめっちゃ低いです。暖房してもすぐ熱気が抜けていくので石油代が半端なく、そのせいでお金が貯まりません。挙げ句の果てに地震で潰れて財産を失います。僕は間一髪でその状況だけは免れましたが、でもそんな未来もあり得た身として全国の古民家LOVERさんたちに警告を発したいのです。

貧乏人は古民家に住むな!

とにかく、能登の重度被災地では古い家は全滅でした。爆心地のようなガレキの風景の中でポツンと立つ新築の家を見て、やっぱり命を守るために耐震基準はすごく大事なんだなと感じました。古民家への憧れは僕の中ではもうほとんどなくなりました。

これを読んでいるあなたはどこか他人事というか、まさか自分が被災することはないだろうと思って引き続き古民家に憧れる日常に戻るかと思います。でもね、僕もそうだったよ。みんなそう。人生で被災するなんて1mmも思ってなかったし、備えてなかった。そして備えてなかったことを後悔した。地震の発生は予測ができません。日本に住む以上、誰の身にも起こり得る話です。だから、備えましょう。コンポストトイレを買いましょう。

え?

ええ?

結局そこに誘導するんかい。宣伝かい。

まあでもいいじゃないですか、事実今回コンポストトイレがものすごく役に立ちました。

商品ページhttp://offgrid.fun/relife/

それから、ポータブル電源もあるといいですね。どんなのがいいですかってよく聞かれるんだけど僕はこれを勧めている。

ギリ、持ち運べる重さで蓄電容量は1kWhと及第点。電動工具使えるくらいの高出力。※案件ではないです

あとソーラーパネルは大きいに越したことはないので100〜400Wくらいで探すといいんじゃないでしょうか。メルカリとかで。

はい、そういうわけで

・田舎に住もうぜ
・でも古い家には住むんじゃないぜ
・セカンドハウスで民泊やろうぜ
・災害用にトイレとポタ電は最低限備える
・水源確保

あたりを今回伝えたかったです。

被災してみて初めて見えてくるものがありますね。

まあよかったら参考にしてみてください。