こんにちはモーリーです。
今回香川県の豊島という小さな島で面白いタイプのオフグリッド工事をやってきました。
これはオフグリッドの高すぎたハードルをぐっと下げるものになるかもしれません。
2016年に鹿児島のテンダーさん @tender4472 から電気のオフグリッドを学んでからというもの、各地でWSに呼ばれたり、個人宅のオフグリッド工事のお手伝いなんかをやってきました。
(参考)
これまで僕自身のオフグリッドゲストハウスも、依頼を受けた工事も「完全オフグリッド」でした。
つまり雨続きでバッテリーが空になったら停電を我慢するしかないというもの。
しかし!
今回はバッテリーが空になったら自動で商用電力(関電等の大手電力会社)に切り替えるというシステムを初めて試してみましたよ!これで初期投資の少ない、無理のない「セミ・オフグリッド」あるいは「ソフト・オフグリッド」が可能になるかもしれません。
このシステムの要となるのは「商用電源切替器」。色々とクセのある機械でしたがそのレポートをお届けしますー!
商用電源切替器とは
そもそもオフグリッドを志す場合には完全オフグリッドでやるパターンが主流です。
オフグリッドのバイブル「わがや電力」でも前提は完全オフグリッド。バックアップとして商用電力を使用する「併用型」というものは今までほとんどの人はしてこなかったと思われます。
完全オフグリッドには難点が2点あります。
- 雨が続くと停電が起きる
- (停電が起きないようにするために)初期投資が大きくなる
完全オフグリッドの場合は商用電力のバックアップがないのでバッテリーが空になると停電になります。
そうならないように3日〜5日分の電力を蓄電するシステムを設計します。そのシステムに見合うパネルの数も必要以上に膨大になります。なので初期投資はかなり大きくなり、それがいちばんのハードルになっているというのが現状です。
そこで、商用電源切替器。
バッテリーが空(一定電圧以下)になったら商用電源に自動で切り替えてくれるという優れもの。
これによりバッテリーが空になっても停電になる不安がなくなる=無理のない範囲でバッテリーを用意すればいい つまり、初期投資の壁がかなり下がるのです。
以前から「自動切替器」という製品には注目していましたがようやく実用性のある機種を発見したので今回の依頼先で実験してみることにしました。
施主はいつも実験台です(笑)
[quads id=3]今回のシステム設計
今回は「とりあえずミニマム設計で」ということでソーラーパネル1枚(130W)、ディープサイクルバッテリー(1380Wh)1個、という感じで設計しました。チャージコントローラーはうちに余ってたPWM制御式のもの。
- パネル 10000円
- バッテリー 13000円
- チャージコントローラー 10000円
- インバーター 19000円
- 商用電源切替器 18000円
- 電設部品 10000円
- 合計 80000円
今回は施主の女性にもかなり手を動かしてもらいました。
何かあった時は自分で対処してもらわなきゃならないのでね!
まずは普通にオフグリッドシステムをつくります。
パネル-チャージコントローラー-バッテリーをつなぎます。
12V系で玄関照明設置
チャージコントローラーからの出力はバッテリーと同じ電圧の12Vでの出力となります。
もしバッテリーが24Vシステムなら出力も24Vになります。
チャージコントローラーからの出力系を1.6mm2芯のケーブルで玄関まで伸ばします。
これが5mくらいの長さでした。手伝いに来てくれたまえしまさん、ありがとう!
カシムラの5連 ソケットでの制御システムと接続して、無事に玄関照明が点灯!
ここまでは難なく完了。
この系統はチャージコントローラーによって制御されます。つまり、電圧の低下を察知したらチャージコントローラーによってシャットダウンされます。
電源切替器に100V商用電力とオフグリッド電源をつなぐ
さて、ここからが本番。
100V商用電源のブレーカーと電源切替器をつなぎます。
そして、オフグリッド系統からのインバーターの電源を、電源切替器につなぎます。
そして、outputの+−から屋根裏ケーブルにつなぎます。
さて、ここまで繋いだところで切替器の液晶が反応しないなぁと疑問に思ったのですが、
一番右にバッテリーの穴がありました。ここに繋いでみると…
液晶が点灯!オフグリッド電源が優先的に使用されています。
配線完了!
色々と宿題を残してしまったけれどあとは施主さんにお任せってことで…(笑)
ひとまず完了でございますー!
その後の経過と感想まとめ
今回は時間がなくて電源切替器の動作確認は瞬間的にしかできませんでしたので、長期的な確認は施主さんからの報告を待つのみです。
色々と手探りですが今のところは順調なようです。設定の方法がちょっと難解で、そこさえ解決したらいい製品だなと思いました(デフォルト設定値から変更する必要がなければそれがベスト)。
また、12V/24V/36V/48Vを自動で認識してアジャストしてくれるというのは便利な機能です。
今後バッテリーを直列で増設した際にも同じ電源切替器をそのまま使用できます。
これがもし使い物になるなら本当に低コストでセミオフグリッドが始められそうです。(前にも書いたけど今回の初期投資は8万円くらい)
なんか、完全オフグリッドよりこっちの方がいい気がします。0か100かじゃなくて、こういうソフトな方が世間に広めやすいと思うから。
まだ僕自身の目で長期的な使用を確認していないので100%オススメとは言えない段階ですが、試してみてる価値はじゅうぶんありそうです。
中国製の商用電源切替器が進化してバージョンアップされました!低電圧遮断、復帰電圧各閾値を任意(9V~17V:12V換算)に設定できるスグレモノです!これ1台で12V、24V、48Vバッテリーバンクを自動認識して使えます!(平成30年5月から販売開始)
販売社;蓄電システム.com
商品ページ;http://www.chikuden-sys.com/category/inverter.asp?id=10126&c2id=0
型番 | NV-Q4500PLUS |
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商品コード | 10126 |
入力電圧 | AC100V~120V OR AC220V~240V |
システム電圧 | ※自動認識 DC12V 9V~17V DC24V 18V~30V DC48V 30V~60V |
最大入力 | 4500W |
出力電圧 | AC100V~120V OR AC220V~240V |
転送時間 | インバーター→商用電源 <10ms 商用電源→インバーター <16ms |
バッテリー遮断電圧 | 標準:10.5V/21.0V/42.0V ※アジャスト ・12Vシステム:9V~17V ・24Vシステム:18V~30V ・48Vシステム:30V~60V |
バッテリー復帰電圧 | 標準:12.5V/25.0V/50.0V ※アジャスト ・12Vシステム:9V~17V ・24Vシステム:18V~30V ・48Vシステム:30V~60V |
サイズ | 17×20.1×7cm |
重さ | 約1.5kg |