メンテナンスフリーのコンポストトイレが可能な「エコロンシステム」なる浄化槽が素晴らしすぎる

コンポストトイレ作家として、見逃せないツイートが流れてきました。

なにぃ!?何もせず自然に還るだとぉ!?

むむむ、これは面白そう!

ということで今日は、「自社のHPよりわかりやすくまとめてくれた!」とたびたび企業から感謝されている僕がまたしても勝手に「エコロンシステム」について徹底的にまとめますyo!

エコロンシステムの全貌はこれだ!

エコロンシステムは福岡の「エコロジーコロンブス」さんが開発したシステムです。

このエコロンシステムは昔の肥溜め同様、浄化槽タンク部分で嫌気性発酵が行われます。ここである程度発酵して、うんこやトイレットペーパーなどの固形物が消化・分解されます。

新たな排水が流入すると、タンク内の上澄みの液体が浄化槽上部の微生物繁殖層に染み出します。

そこから毛細管サイホン現象によって特殊培養土層へと水が浸潤し、土壌微生物に浄化されて自然環境へと還って行きます。

構造と仕組みをもっと詳しく

理解を深めるために設置の過程を見ていきます。

まず最下層にはU字溝で作られたタンク(=肥溜め層)が入ります。U字溝でタンクって作れるんだー!っていうのがまず驚き。

大型のU字構

肥溜め上層にはスリットの入った蓋を取り付けて浄化槽(スリットからしか水が抜けない構造)とします。

U字構をロストル(スリットの入った蓋)で覆う。

この浄化槽内で生活排水や屎尿は嫌気性発酵します。下層には未消化の沈殿物、上層にはある程度発酵の進んだ水分がきます。

この浄化槽に「流入管」からトイレ排水含む生活排水が流入すると上蓋のスリットから水分が染み出します。

この染み出した水を微生物繁殖層がキャッチします。微生物繁殖層は卵パックを積み上げたような構造になっています。

この微生物繁殖層の構造体は「エコロン」といいます。「エコロン」は微生物が好む濾速(ろそく)を実現するための部材で、上澄みがゆっくり時間をかけて通る構造になっています。

上澄みはここを通って周囲の土壌(特殊培養土)に滲み出ていき、好気性の微生物がきれいにしてくれます。嫌気性発酵→好気性発酵というこの流れがよさげです。浄化された水は、もともとあった土壌や大気に還元され、自然界に還っていきます。

微生物層は目の細かい網で覆います。これは砂が浄化槽内部に入るのを防止するためです。

微生物培養土で周りを埋めていきます。

流入管用の穴。

流入管をセット。家庭の排水パイプと接続します。

周りに特殊培養土(微生物が好む土)を充填します。

完成!この浄化槽の上に立っていても全然臭わないんだってー!(上にパイプが突き出ているのは小さな穴を開けて気圧を抜くため&「ここにあるよ」の目印のため)

こちらは浄化されて染み出た水が溜まる水質検査層。なんと、飲めるくらいに浄化されてるんだそうな。

 

構造の概要図。

「エコロンシステムK-36」全体イメージ図
「エコロンシステムK-36」断面図

清掃口はなんのため?

浄化槽の真ん中付近に「清掃口」を立ち上げます。

これって何に使われるんですか?とエコロジーコロンブス冨安さんに尋ねると

ビニールなど分解不可能なものが混入したときに取り出すための口です。女性の生理用品にはビニールが使われてますからね。また、タンクに溜まった液体を「下肥」として取り出すこともできます。

冨安さん

なるほどー!

下肥が使えるシステムになっているのは素晴らしいですね!!地面に埋めてブラックボックス化するんじゃなくて、こうやっていつでもアクセスできるっていうのが素晴らしい仕組みだと感じました。

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エコロンシステムのここがすごい!

このエコロンシステムは一般的にはこういったメリットがあると思います。

僕のような環境マニアの心を動かすポイントとしては無自覚に自分の排泄物を地球にお返しできるっていうところがグッとくる。

うんこをいかにストレスなく地球に返すことができるかって、近代環境問題における重大なテーマなんですよ(お金を払って化石燃料や薬品を投下してうんこを処理してもらうっておかしいよね)。

だから僕はコンポストトイレを作ったけどやっぱ水洗トイレの方が快適ですよぶっちゃけ。メンテナンスもあるし。

その点このトイレは「普通の」トイレと同じように水を流していいんです!ウォシュレットも使えるんだぜ!

今って頑張って意識を高く持ってる人だけが便利を手放してサステナブルな生き方を送ってるじゃないですか。これじゃ普及しないし環境破壊はなくならないと思うんです。

だから僕が目指す世界って「無自覚にみんながサステナブルな暮らしをおくる世界」なんですけどこのトイレは便利を手放さないままに、サステナブルな生き方を実践できるのではないでしょうか。

ただし、この浄化槽の主役は微生物。
流していいもの、悪いものをしっかり考えて使わなければなりません。
こんな劇物は流してはいけませんよ…
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微生物にとって有害なものは流してはならないので「無自覚に」はちょっと言い過ぎかもしれませんね。何を流していいのか、悪いのか、それを考えることは家庭内の「教育」にもつながりますね。

冨安さん

 

生活排水全般を、微生物の力だけで浄化してくれるって素晴らしい。

本当は汲取屋さんも、浄化槽管理業社もいらないんだよねぇ!河川放流なんて愚の骨頂だよねぇ!

排水を浄化して土地を豊かにするのがこのエコロンシステム。

実際に、このシステムの上で畑をするとびっくりするくらい野菜が育つんですって。

北海道の施工例。「エコロンシステムK-36」の上の緑が青々としているのがわかる。

僕たちは排水を食べている。このシステムを導入するとそのことが身近に思えて、自身の生活のアウトフローが必然的に気になっちゃいますね。

導入しようze!

現在全国で279基のエコロンシステムが導入されています。

お値段は¥200万〜するそうですがその価値はありそうですね。

まず気になった方はお問い合わせをどうぞー!

問い合わせ先;エコロジーコロンブス

あ、いま思い出したんだけど以前和歌山の友人宅も水洗コンポストトイレでした。あのシステムも似ているのかなぁ。

おトイレ見学 地面に染み出す水洗コンポストトイレ

いやぁトイレは奥が深い。今後も面白いトイレを発見したら「勝手にまとめ」やりますのでお楽しみにー!ではまた。