【自家発電の損得】オフグリッド自家発電って、いつか元が取れるのかという話

※この記事は以前にゲストハウスikkyuのブログに書いていたものを引っ越しさせてきました。

こんにちは。梅雨が明けたのにずーっとベタベタ。今日も湿気地獄熊野からオフグリッド情報をお届けします、ゲストハウスikkyuのモーリーです。

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(滝で涼んでいる図)

さて、本日はタイトルの通り、「オフグリッドって電気代タダになるわけだからいつか得するの?」ってお話。

ここをはっきりさせとかないとオフグリッドに踏み出せません。衝撃的な結論から先に言います。

電力会社と契約し続けたほうが得だよ!

はい。そうなんです。オフグリッドにするために投資をしたあとに月々の電気代をまじまじと見てみたら、電気代安すぅ〜ってなりました。

(円,税込)
最低料金(最初の15kWhまで) 1契約 373.73
電力量料金 15kWh超過120kWhまで 第1段階 1kWh 22.83
120kWh超過300kWhまで 第2段階 29.26
300kWh超過分 第3段階 33.32

(関電HPより)

15kWhまで基本料金で使えるなんて!うちのゲストハウスはたぶん、1日1〜1.5kWhくらいしか使ってないと思います。仮に多めに見積もって1日2kWh消費しているとしても、上記の電気代で計算してみると月々1400円くらい。年間にすると16800円。

そもそもオフグリッドでまかなえてる時点でかなりの省エネハウスなので電気代が鬼のように安くなるのは当たり前なのです。

一方でオフグリッドのシステムに一般的に投資される額は

ソーラーパネル1kW分…10万円
蓄電池10kWh分…10万円
チャージコントローラー…2万円

合計22万円の投資で快適なオフグリッド生活は始められます(モーリー基準)。

じゃあ、この22万円を何年間で回収できるかという話になります。22万÷16800=13.09。つまり約13年。

わーい13年で元が取れる♫

…なんて甘いもんじゃないんですよ現実は。

バッテリーの寿命は2年、ソーラーパネルも年々劣化!

長年使用したiPhoneのバッテリーがすぐ空になるように、バッテリーというものは年々劣化してやがて寿命を迎えます。バッテリーの寿命は2〜5年と言われています。仮に5年ごとに寿命がきたとしてバッテリーをその都度買い換えるとしたら5年ごとに10万円の出費です。

一年で割ると年間2万円、バッテリー代にかかるという計算

この時点で、電力会社の電気使用料16800円/年 より高い計算です。

さらに、ソーラーパネルも年々劣化します。しかしこちらは20年落ちの中古でも使える商品が結構あるみたいだし、バッテリーほど寿命の周期は短くないようです。

バッテリーの寿命問題は結構悩ましいです。車屋さんや産廃業者と仲良くなって廃バッテリーをタダで手に入れるルートなんかがあれば最高。

ちなみに僕が愛用しているバッテリーはこちら。長持ちせーよ。

 

見えざる出費、メンテナンス費用

電力会社の電気を使っていて、何かトラブルが起きたらすぐに電力会社の人が駆けつけてくれます。電線に木や瓦礫が引っかかるとそれを撤去してくれる人がいます。停電したら復旧の為に働いてくれる人たちがいます。

オフグリッド自家発電は、そういったトラブルも全て自己責任。自分で直さなくてはなりません。

僕はある朝突然5連シガーソケットが「バチッ」と鳴って全ての電気がストップしたことがあります。多分ショートしたのでしょう。その線に繋がっていた冷凍庫や冷蔵庫などにも大電流が流れたと思われ、もし故障していたらその損害額は30万くらいになっていたと思われます。アースがきいていたのか、奇跡的に復旧してくれましたが…。

そういうトラブルにも自分で対処しなければなりません。一瞬で数十万の損害が出ることもあり得ます。

それに比べたらメンテナンスフリーで、なんの知識もなんの苦労もなく電気が使用できて、クレームまで聞いてくれる…
現代の暮らしはまるで王族かと。ちょっと快適すぎるんじゃないの。その快適さを捨ててまでオフグリッドしようって人は頭おかしいんじゃないの。そういう意見も聞こえてきそうです。

苦労してまでオフグリッドする意味

ー自分の生活くらい自分の手の中に取り戻すー

 近代の産業革命以降工業生産化が進み、社会全体がお金を介した高度な分業体制になったと言えます。その中で生活に必要なものまでが誰かの専門的な職業になってしまいました。例えば農業や発電事業などのインフラ関係です。もちろん、そういった生活に必要な分野でも効率化や収益性が追求されます。その結果世の中はどうなってしまったかというと、農薬にまみれた食料が大量生産され、家畜は狭い場所で大量に飼育され命は確実にその尊厳が失われました。原子力発電で多くの生物が住めない環境を生み出し、地下資源を採掘しては海を汚染し空気も、大地も汚染してきました。

自分の生活に必要なモノを、どこかの誰かに頼れば頼るほどに責任の所在が不明確になり、無自覚に地球を傷つけるライフスタイルが当たり前になりました。そろそろ僕たちは自分たちの生活を自分の手の中に取り戻し、自分が取り込むモノ、自分が排出するものに責任を持たなければなりません。

全てを一度に、というのはもちろん難しいので、まずは電気を自給することを僕は強くオススメしたいのです。ほんの1年前にはソーラーパネルに触ったこともなかった僕がいまこうして文章を書いています。つまり電力の自給というのはすごく簡単なことなのです。少しの苦労や出費を伴おうとも、その選択がきっといい未来に繋がると僕は信じています。「損得」のモノサシで測れない大事なものがあることを、僕たち大人はもう一度思い出すべきです。

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