ぼくの職場には旦那さんが警察署で働いているという女性がいる。
その女性が「森くん、鶏、いらん?」と聞いてきた。
詳しく聞くとその鶏は「落し物」として警察署に届けられ、きっと飼い主は現れないだろうということだった。
ぼくはちょっと考えて「いいですよ」と答えた。
警察署に電話してみると「6/10以降に来てくれたら保管責任はない。それ以前の引き取りだと3ヶ月は飼い主のために保管しなければならない」
と言われて6/10まで待つことにした。
卵は今のところ産まないということだったから、まあ捌いて食べてもいいか、という気分だった(ちなみに鶏を捌いたことはない)。
そうして一週間が過ぎ、警察署に引き取りに出向いた。
「いやあ、なついてきちゃってねぇ」
と担当の方は別れを惜しむようだった。
確かに鶏とその担当の方には何か通じるものがある様子で、鶏もどことなく寂しそうだった。
(この首をぼくが切るのか…)
と、もらうそばから尻込みしてしまった。
この日のお昼は「カオマンガイ」(妻の自家製ジンジャーソースだそう)
やっぱり鶏肉は大好き。
でも自分では捌けない。
だってかわいそうだし。
だから殺して捌くのは見知らぬ誰かにお任せちゃん。
いのちに感謝して口先だけの「いただきます」
でも…それでいいの?
((とりあえず痩せてるし太らせてから考えよう))
この間、うちの駐車場に小鳥の死体がコロンと落ちていた。
庭に埋めてあげようと、手のひらに乗せて息子に見せた。
そうすると、息子はえんえんと泣き出した。
それを慰める妻もえんえんと泣いていた。
泣き止んで一緒に庭に埋めた。
しばらく経った今でも「トリさんお庭で寝てるの?」と息子は聞いてくる。
こどもはとても心が綺麗だ。
そんな息子の前で鶏を捌くなんて…
やっぱり無理かなー。。
とりあえず、1羽飼うのも10羽飼うのもそんなに労力は変わらないと聞くから、これを機に卵を産む若い鶏も飼ってみたいと考えている。
でも妻よ、お願いだからトリに名前をつけないでくれ。
(さっき「トリスティーナ」と呼んでるのを見かけた)