薪料理の排熱を洗い物のお湯の熱源とする、一石二鳥の薪キッチンシステム。

どうもこんにちはモーリーです。

さて、今回は「料理をしながらお湯を沸かせる」装置を製作したのでそちらを解説します。

料理における汎用性

僕は何においても「汎用性」というものを大事にしています。

1つの動作で2つの仕事をこなせる、そういったものづくりが大好きです。

薪で料理をするというのが今回のテーマですが、みなさんが思いつくのは「かまど」でしょう。

かまどのイラスト | かわいいフリー素材集 いらすとや

かまどは確かに優秀です。少ない薪でご飯を炊くことができます。

しかし、かまどって料理しかできないんですよねぇ!当たり前ですけども。

料理のあとって必ず「洗い物」という作業が待ってますよね。

洗い物にはお湯がほしい。

僕は考えました。そのお湯を、煮炊きしながら、同時に作れる薪コンロがあったら便利だなぁ、と。

消費する薪の量的には圧倒的にかまどの方がエコ。

だから今回ぼくがやることがエコなのかどうなのかもはや怪しいがロマンであることは間違い無い。だから許して。

基本的な考えかた

この薪コンロシステムに使用するのはこちらの角型薪ストーブです。

基本的な考え方を説明します。

「調理に使う熱は天面のみ」なのでストーブ側面と煙突に逃げる熱が利用されることのない「排熱」となります。これらをお湯に変換するのです。

ですが、煙突に逃げる熱は上昇気流を生み出すために必要なロスだったりもするわけです。

煙突からあまりに熱を奪うと浮力がなくなりストーブの燃焼が悪くなる、ということも。

実は以前に煙突に逃げる熱を回収するという方法でお湯を作る実験をしたことがありました。

しかし、これはものすごい量の煤が詰まってしまい、途中で断念。

煙突から熱を回収することの弊害を思い知りました。

(しかし今思うとかなりの熱を回収できていたのも事実。)

煙突から熱回収するのはリスクやデメリットが大きいです。

それに比べて、ストーブ側面から熱を回収するのはそういったこともなく、しかもかなりの熱量を回収できます。

今回はストーブの両側面の熱を余すことなく回収する方法でやっていきましょう。もちろん、リスクを承知の上で煙突からも回収するのは全然アリです。

熱回収かまどポイント

・調理用薪ストーブで無駄になっている熱は側面と煙突に逃げる熱
・煙突の熱を回収しすぎると浮力を失い、燃焼を阻害
・側面の熱は100%回収、煙突はほどほど。これが理想

熱回収ストーブの作り方

まず、片方の側面の熱を回収するのは簡単。

薪ストーブに水タンクをピタッと寄せればいいのです。

あ、その前に角形薪ストーブの側面をくり抜いちゃいましょう。

その方が熱が直に伝わります。

8000円のストーブなので躊躇なくできますね。

タンクとストーブの間に少し隙間ができますが煙漏れなどはないです。気になる方はモルタルで埋めるなどした方がいいかも。

どちらにせよ土間設置が大前提ですね。

はい。これで、片方の側面からの熱回収はOK。

これだけでも結構タンクは温まると思います。

では次に反対側の側面の熱を回収する方法を解説。

反対側側面の熱回収

これを使うぅぅぅぅー!

飛び道具を出してすみません。

これは「クーリングプレート」と言って中国から特注で取り寄せたやつです。

25mmのアルミプレートの中に銅管が埋め込まれています。アルミに熱を蓄積し、銅管で熱を回収する。

アルミは熱伝導率がいいのでプレート全体の熱を銅管の水は回収することができる

日本ではもちろん売られていません。再現性がないです。ごめんちゃい。

ショップとしてはこちら。

https://wuxihejiu.en.alibaba.com/?spm=a2700.12243863.0.0.2ce83e5fO5YC6h

基本的にやり取りは英語だけど、かなり親切な企業でした。

値段は400ドル、送料が150ドル、関税が数千円って感じでトータルで6〜7万円くらいかかったかな。

たかだかお湯を作るためにね!

まあでもこのクーリングプレートっていうものを使ってみたかったんです。わかりますよね?変態のみなさん…

こんな感じで、側面くり抜いたストーブにピタッと横付けしまして。

そして、ポンプで水循環の配管ができたら完成です。

これで、反対側側面の熱回収機構が完成です。

ちなみに、燃焼中にクーリングプレートを触っても熱くないんです。

アルミ板に蓄熱された熱がきっちりと銅管(水)で回収されているから、プレートの温度がそこまで上がらないってことです。

いやー、すごい。ロマン!

使用した耐熱ポンプはこちら。

温度上昇はいかほど?

システムが仕上がったので実際に火入れ実験してみました。

結果はこのような感じ。

実験結果

30分燃焼→21度上昇
40分燃焼→27度上昇
50分燃焼→34度上昇
60分燃焼→40度上昇

だいたい10分の燃焼につき6〜7度、温度上昇するって感じですかね(※タンクは90リットル)。

ちなみに最高性能の薪ボイラー、ATOは200リットルのお湯が10分で10度上昇するらしい(友人談)ので、性能はその半分以下ってところ。

薪ボイラーATO(エーテーオー)は金額に見合った価値あり

調理時間として想定しているのは30分くらいなので、できればその時間で40度上昇してもらいたいところ。

つまり、今の倍くらいの性能がほしいです。やはり、煙突の熱回収に手をつけたいところ…。

今後の改良

さて、今回は「1時間焚いたらちょうどよくなる」くらいの性能でした。

今後は煙突からの熱回収を目論んでいますが、とっておきの秘策があります。

ストーブ出口の煙突を断熱してロケスト化して、一旦おろす。ダウンドラフトで煙突熱を回収し次の上昇のところでまた断熱してあげる。

これ、ダウンドラフトのところで熱回収=空気が重くなるというのはよりダウンを加速させる方向に働くのでは。

そう考えています。

いやー、この冬ここまでやれるか、気力がちょっと微妙ですが面白い案ではあるのでここまで行きたいなぁ。

実装したらまた動画にしますね。

ということで今回は調理熱をお湯に変換するかまどの作り方、でした。