コンポストトイレ自作の方法

この文章は農文協「季刊地域」に寄稿した原文です。

これがどのように編集されて公開されるのか、とても楽しみです。

季刊地域 春号(45) 2021年 05 月号 [雑誌]: 現代農業 増刊

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農文協 編
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うんちを水に流すなんてモッタイナイ

生ゴミのコンポスト(堆肥化)を経験したことがある人は多いと思います。では自分のうんちをコンポストしたことがある人は?きっとかなり少ないと思います。うんちを水に流すなんてもったいない。土に返したい。という思いから僕は「コンポストトイレ」をインターネットで販売しています。もともと京都大学在学中はフードロスがもったいないということで規格外野菜の路上販売や廃棄食材を使用したビュッフェレストランの運営をしてみたのですが1400kmのお遍路歩きをしている途中ではたと気がついたのです。「もったいないのは食べ物ではない、トイレに流されるうんちの方だ」。この事業を始めてやがて4年になりますがこれまで約500人の方々に僕のトイレを選んでいただきました。

コンポストトイレを商品化するまでには本当に多くの失敗を重ねました。しかしこの失敗は自分のうんちと対峙するいい時間でもありました。これを読む読者の皆様にはまずは失敗してもいいから「自作」することをお勧めします。失敗から学ぶことがたくさんあります。今回この記事では自作コンポストトイレのキモとなる考え方を伝授します。重要なポイントは2つだけ。「大小分離」と「撹拌」です。

森雄翼。京都大学農学部卒。ecoばか実験と称してソーラーオフグリッドや温水薪ストーブなど独自のエネルギー自給システムを構築。そのようすを「ecoばかクリエイション」というチャンネルで動画配信。現在チャンネル登録5万5000人。コンポストトイレ販売をメイン事業としつつ現在温水薪ストーブ販売に向けて商品開発準備中。

 


僕が開発したコンポストトイレRELIFE。コンポストトイレを世の中に普及させることが最大の目的だから10万円以内で販売したいという思いが最初からあった。

 


大小分離セパレーターは海外製のものを参考にオリジナルで製作。和歌山のFRP作家に制作を依頼している

 


セパレーター層の下、箱の内部構造。尿は手前の10リットルタンクに溜まる。大便は後方の撹拌コンポスト容器「自然にカエル」へ。

 

トイレに座りながら、ノールックで中身を撹拌できるというのがいちばん工夫した部分。自分の出したものと向き合いたくない日もある。

大小分離と「いいうんち」が大事

自作コンポストトイレにおいてまずいちばん重要な考え方は「大小を分離する」ということです。うんちとおしっこさえ分けてしまえば匂いはかなり抑えられます。水分が多すぎると好気性微生物の働きが弱まったり臭くなってくるのでできるだけ基材(=おがくずや腐葉土)はドライな環境をキープしてあげるのが良いです。おっとここで気づいた方もいるでしょう。あまりにウェッティな便ばかり投入していると基材がすぐに水分飽和して交換時期が早まります。中身の交換はいちばんつらい作業です。基材を出来るだけ長持ちさせねばという恐怖心から、食生活にも自然と気をつけるようになります。

コンポストトイレ おしっこ部分
コンポストトイレつくりかた5
僕が販売している大小セパレーターは性能はいいけれど高価(18000円)なのでまずは自作を推奨します。こちらは「セイカの暮らしだより」川端夫婦のコンポストトイレ。ジョウロの先っぽをカットして加工したセパレーター。

 

トイレ小屋完成!大小分離のコンポストトイレをDIYでつくりました

トイレ小屋完成!大小分離のコンポストトイレをDIYでつくりました

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こちらは100均のちりとりとシリコンろうとで作成された大小セパレーター。安価でできてクオリティも高い。製作者は地球生活NEO様

 

中身を取り出す作業は重くて、臭くて、汚い。正直、苦痛な作業です。この作業を最小限に抑えるために自然にカエル3台運用を勧めています。これにより中身を取り出す作業が全くの不要になります!(うんちは土に還りませんが)

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撹拌派?スコップ派?クサイものには蓋をせよ

大小分離したあとおしっこは尿タンクへ。うんちは基材の入った「コンポスト容器」へ落ちるように設計します。産み落としたうんちには基材をかぶせて「蓋」をすることで臭いが消滅するのですが、それを撹拌機能により蓋をするのか、あるいはスコップで土を投入して蓋をするのかで意見が分かれるところです。僕は撹拌派ですが、撹拌する最大のメリットは「基材の交換頻度が少ない」ことです。撹拌することで基材中に新鮮な空気が入り込み好気性微生物が活性化します。そのため撹拌タイプはうんちの消滅速度が速いのです。また、新たに基材を投入する必要がないため体積が増えません。うんちは8割が水分なので蒸発と発酵でほとんど消滅します。実際に僕は1年3ヶ月もの間中身を交換せずに運用できました。撹拌機能、おそるべしです。撹拌の構造は自作が難しいので多くの人が「自然にカエル」という商品を使っています。実は僕の製品も自然にカエルをベースにしていて、ラチェットレンチが接続できるように一手間加えているだけだったりします。

撹拌しないタイプはどうするかというと、ただのプラスチックケースにうんちと基材を積んでいくのですが、ケースをたくさん用意するんですね。AがいっぱいになったらB、BがいっぱいになったらC…という具合です。そして取り出したケースは蓋をして庭に出す。雨の侵入を避けつつ日差しに当てて温度を上げ、発酵を促進させる。完熟になったタイミングでそれを畑に返す。手間は増えますがシンプルだし費用もこちらの方が安く上がります。

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長野県の「うまや七福」さんは大小セパレーターだけ僕のサイトから購入し、コンポスト容器にはただのプラスチックケースを使用している。こんなやり方もあるんだと驚かされる。部品売りをしているとユーザー様の工夫が見れて、そこが面白い部分。

 

自然にカエルの内部構造。簡易的な撹拌羽だとどうしても底部分にうんちが溜まってしまうのに対して、カエルは底の部分までしっかり掻き出して持ち上げてくれる。これを自作で再現するのは難しいので既製品を使おう。

 

写真の説明はありません。

DIYで制作したい人のために「DIYキット」を販売。トイレの核となるセパレーターと撹拌コンポストのセット。このキットが1番の売れ筋で多くの人がこれをもとに自作している。写真は製茶園の農家さんがお茶箱で作ったコンポストトイレ。

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「ウォシュレット使いたい」の声に応えて水洗化を研究中

本当は温度管理についてとか取り出した基材の処理について、などもっと多くを語りたいのですが記事スペースの関係で今回は割愛します。この続きは僕のブログにたっぷりと書きたいと思いますので興味のある方はQRコードから飛んで読んでみてください。
今回僕が紹介したトイレは「電気も水も使わない」タイプなので災害用にも使えます。実際にそういった用途で購入される方も結構多いです。しかし逆にウォシュレット使いたいので水洗化に対応してくれという声も多々入っています。現在その需要に対応するため水洗化が可能なバイオガストイレを研究しています。コンポスト化できる上に調理ガスまで取り出せるものです。うまくいけばこちらもお求めやすい価格で商品化したいと思いますのでぜひ今後も目を離さずに僕のyoutubeをチェックしておいてください(笑)

阿蘇のキャンプ場にバイオガス実験場を設置しました。

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