「二度目に備えよ」ドイツ脱原発の本を読んで

「電力自由化」

日本でも2016年4月から導入されたこの制度。

ナメてたぜ…。これで国民が自分たちの意思を強烈に表現して政治を動かし、脱原発を表明するに至った国、ドイツ。

今日はそんなドイツの脱原発に関する本を紹介します。最後にはそれを読んでのぼくの持論も少しだけ。


 

最近読んで衝撃を受けた本がある。

以下の本。

これは、ドイツのシェーナウという地方で市民が立ち上げた小さな電力会社が、100%自然エネルギーで電力を供給しドイツ全土の多くの賛同を得て一大企業になった背景や経緯などを中心に、ドイツの脱原発を巡る政治情勢や国民の意識の変化などをものすごくわかりやすくまとめた本。

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ドイツは2022年末までに脱原発することを表明しているんだけど、実は311のフクシマが引き金になってる。しかも311の4ヶ月後の迅速な決断。この正しい選択を他国が決めてジャパンがいまだに原発再稼働って、はなはだ恥ずかしいこった。

 

ドイツの歴史をこの本で詳しく読んでみると、実はチェルノブイリで放射能の恐怖を一度味わってる。

その経験の有無が、日本とドイツの反応の違いを産んだのだとぼくは思う。(ドイツはチェルノブイリ放射性物質汚染の影響が大きかった)

 

ドイツではチェルノブイリ事故から脱原発の草の根活動が始まり、各地でデモなどが起きるんだけど、この本に紹介されているシェーナウ電力会社もその草の根活動のひとつ。

脱原発のコンセプトに賛同するドイツ国内の人たちは、100%自然エネルギーを供給するシェーナウ電力会社と契約をし、その数がどんどん増えていきました。その背景にはシェーナウ電力会社が既存の電力会社と価格面で対等になれるよう、工夫を凝らした(節約すればするほど既存の電力会社よりお得になるシステムなど)という努力もあります。

そう、実は「再生可能エネルギーは高価ではない」というのを実証したのもシェーナウ電力会社の功績のひとつ。

それからドイツでは「みどりの党」が力を持っている影響もあり、新たな建築物を建てる場合、断熱材を何cmの厚さで必ず入れなければならない、とか電球も数十W以上のものは販売を禁止する(LED照明の奨励)などの徹底した「省エネ法令」が敷かれ、国策としてエコを導入。FIT制度(再生可能エネルギー固定価格買い取り制度)を世界でいち早く実施。電力自由化も1998年に導入するなど、かなり先進的でした。

 

そのように、チェルノブイリからの教訓を踏まえ、草の根活動を展開し、国の方針まで変えてしまうなど徐々にエネルギーシフトの気運が高まっていたという土壌が整っていたところでの311フクシマ事故。

「あの技術大国でさえも原発事故は起き、事故の前になすすべなし!」

それがトリガーとなり、ドイツは「脱原発」を宣言。シェーナウ電力会社以外にも、自然エネルギーを供給する会社が立ち上がったり、既存の電力会社も自然エネルギーの割合を増やすなど国をあげて一気に脱原発に踏み出しました。

市民がつくった電力会社―ドイツ・シェーナウの草の根エネルギー革命

次の事故で一気に変える準備を

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で、もう忘れてる人も多いけど、日本も2011.311に放射能の恐怖を味わった。

その後の選挙の結果を見ると、あれから一体何をこの国民は学んだのかと呆れてしまうけれど誰だって1度目の失敗くらいじゃ学ばないのではなかろうか。

ドイツだってチェルノブイリ原発事故で一気に脱原発に傾いた訳ではない。

一部の人たちの絶え間ない努力が、皮肉にも二回目の大事故(フクシマ)の影響で花開いた形となった。

二度目の失敗でようやく懲りて、間違いに気づく。愚かだけど、それが人間。

だから「二度目」がくるまでに、どこまで草の根活動を展開できるか。

原発を所有する大手電力会社のシェアをどれだけ減少させることができるか。

それが、来たるべきセカンドインパクトの時に鍵を握ると思う。

 


電力自由化も始まりました、とりあえず今ぼくらができることは大手電力会社から電気を買わず、原発再稼働に加担しないこと。

「電力会社を自分で選ぶ」

国民ひとりひとりの選択が、ドイツの国策まで変えてしまったのです!

ぼくはこのことに感動を禁じ得なかった。電力自由化、これはきっと切り札になる。

 

また、もうひとつ大事なことは、「そのとき」に備えて海外に逃げ場所を作っておくこと。

フクシマの事故は奇跡的に東日本の一部地域に影響が収まっているけれど、対処いかんによっては北半球全域が住めなくなっていただろう、というようなことも聞く。

だから、逃げ場所をあらかじめ確保しておくことも重要になってくる。立ち向かっても勝てない相手からは逃げるしかない。

それが、ぼくのゲストハウスを開業するおおきな理由のひとつでもあります。外国人の友人を今のうちたくさんつくるぞ。あまりおおきな声では言えないけどね。

 

 

そんな危機感と、「この国を変えなくちゃいけないんだ」という責任感を、いい意味で思い出させてくれたこの本。ぜひ皆さんも読んでみてください。日本もドイツに続くべき。行ってみたくなりましたビールの国ドイツ。