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こんにちはecoばか実験室のモーリーです。
突然ですが「ランドリーマグちゃん」ってみなさん知ってますか?
純度の高いマグネシウムと洗濯物を一緒に洗うことで洗剤のような洗浄効果が得られるらしいのですよ!
洗剤いらずで環境に優しい!
ってことで巷では大人気。気づいたらあの人もこの人も「マグちゃん使ってまーす」って宣言してる。
「部屋干ししても臭わないんですぅ〜」というマダムたち。
果たしてそれは本当なの!?ちょっと眉に唾をつけてる私。
ということで今日はランドリーマグちゃんを科学します。
Contents
マグちゃんの洗浄の仕組み
まず、マグちゃんが何者かと言うと、99.95%のピュアマグネシウムだそうです。
洗濯機の中に衣類と一緒に入れて洗うだけで洗浄効果が得られるということです。
どういうことかというと、マグネシウムが水中で水酸化マグネシウムMg(OH)2となり、水がアルカリ性に傾くのです。
この、アルカリが「洗浄効果」の正体だと思われます。
高校の化学、苦手な人もいたかと思いますが以下の計算式で表されますね。
マグちゃんを入れるとpH9.5くらいになるそうです。
このアルカリが、皮脂などの汚れを落としてくれるのですね。
画像引用:アルカリパワー愛
じゃあ、どのくらいのpHから洗浄力を持つのかというと、やはりpH9.5以上はほしいところでしょう。
画像引用:アルカリパワー愛
というわけで、今回は「マグちゃんを入れるとどのくらいpHが変化するのか?」を実験したいと思いますー!
買ったばかりのマグちゃんなので劣化は全くしてない状態です。
マグちゃんを入れて洗濯してみる
まずは普通に洗濯して実験してみます。衝撃だったのは水道水がかなり酸性だったってこと。pH5.90でした。
ランドリーマグちゃんの実験。
酸化還元反応でアルカリを発生して、その力で除菌し、衣類を洗浄します!ってことなんだけど
100gのマグネシウムっていったいどれくらいアルカリを発生するの?
pH測定して実験してみまーす
初期値はpH5.9#ランドリーマグちゃん#ベビーマグちゃん#マグちゃん pic.twitter.com/0Idn8Koaua— もーりー@トイレ作ってる人 (@yusukemori87) 2018年7月9日
ちなみに洗濯機は二層式洗濯機で水の量は41Lです。これに対してランドリーマグちゃんを1個投入。
5分ごとに測定してみました。
【マグちゃん洗濯実験】
5分後→ph6.75
10分後→ph6.74水道水の酸性をアルカリに持ってくことは出来るのか!?
※洗濯の画像お見苦しくてすみません…
これからはコップにサンプリングして画像発信します#マグちゃん#ランドリーマグちゃん#ベビーマグちゃん pic.twitter.com/kHxf7H0ZFL— もーりー@トイレ作ってる人 (@yusukemori87) 2018年7月9日
5〜10分はpH上がらず。洗濯物が酸性だから、なかなか上がらないのかな。
15分後→ph6.92
20分後→ph7.08やっとアルカリに傾いてきたけどこれでやっと中和。
pH8を超えるのはいつになるやら。。#マグちゃん#ランドリーマグちゃん pic.twitter.com/d6tsuQFs5r
— もーりー@トイレ作ってる人 (@yusukemori87) 2018年7月9日
20分後にようやくpH7で中和。
25分後にじわじわとアルカリへ。
【マグちゃん洗濯実験】
25分後→ph7.32ジワジワとアルカリに傾いてきましたよー。
でも、洗い、すすぎ、脱水の工程で洗いって25分もないよね。つまり、ランドリーマグちゃんは数時間つけおきして、洗濯槽内の水をアルカリに傾かせてから、洗濯しないと意味ないってことがわかりましたね pic.twitter.com/3r3QoKVEwu
— もーりー@トイレ作ってる人 (@yusukemori87) 2018年7月9日
なかなかpH上がらないので45分間「洗い」で回しっぱなしにしてようやくpH8になりました。
【マグちゃん洗濯実験経過】
45分後→ph8.07やっと8をこえたー!
ph9くらいになったら洗浄力ありと認めることにする pic.twitter.com/SobprZJwKF
— もーりー@トイレ作ってる人 (@yusukemori87) 2018年7月9日
う〜ん、全然pH上がらないじゃないか!!
これは洗浄力に疑問。洗濯物自体がものすごく酸性だったという可能性もあるので次は洗濯物なしの状態で実験です。
洗濯物なしだとpHはどこまで上がるのか(つけおき編)
おいマグちゃん、お前こんなもんじゃないだろう、ということでさらなる実験。
お次は洗濯物なしであなたの能力を発揮してもらいますよ!
なんか、納得いかないのでもう一度実験。今度は洗濯物なしの状態で、ただの30lの水の中に入れただけの状態でどこまでアルカリに傾くか。1時間ごとに測定します。
初期値はpH6.22です。
pH9まで行くのに何時間かかるのかテストしたいと思います。 pic.twitter.com/j0OsonxAqo— もーりー@トイレ作ってる人 (@yusukemori87) 2018年7月10日
というわけでマグちゃんを3時間ほど「つけおき」してみました。中の水は動いてません。
その結果がこちら。
【マグちゃん実験】
約3時間、水の中にマグちゃんを浸けおきしてみましたが、pH変化せず。なんと、動きがないと酸化還元反応しないのか!
というわけで、マグちゃんの洗浄力を発揮させるには洗濯機を回転させ続けなければならず、
phを2上げるのに45分ほど回転させる必要がある、という結果に。 pic.twitter.com/fDwxmooexY
— もーりー@トイレ作ってる人 (@yusukemori87) 2018年7月10日
なんと!つけおきは全くといっていいほどpH上がりませんでした。
「臭いの落ちにくい洗濯物はつけおき洗いが効果的」と説明書に書いてありますがそんなに効果はなさそうです。「洗い」の時間を長くしてあげる方がいいかと思われます。
ちょっとこれは衝撃でした。
洗濯物なしだとpHはどこまで上がるのか(「洗い」編)
さて、静的な水の中ではマグちゃんはほとんど反応しないことがわかりました。
それじゃあ、ということで電気の無駄ですが何も洗濯物を入れない状態でマグちゃんと41Lの水で「洗い」モードで実験。
初期値はpH6.08です。
15分後。うおお!やっぱり洗濯物なしだとpHの上がり方が全然違う!pHが2.6ほども上がって一気にpH8.69に。
30分後。さらにpHが上がってpH9.28に。
うおーこれは結構いい結果ですな!洗浄力ありそう!
でも30分もかかるのかい。
一般的な洗濯機でマグちゃんの能力を発揮するには
アルカリに傾くとはいえ30分も洗濯槽を回し続けるなんてちょっと現実的ではありません。
一般的な全自動の洗濯コースでは「洗い」は10〜15分くらいだそう。
- 洗い→10~15分
- すすぎ1回目→2~3分
- すすぎ2回目→2~3分
- 柔軟剤投入→2~3分
- 脱水3~5分
この15分の「洗い」の間にできればpH9.5まで持っていきたいわけです。
じゃあどうするか。マグちゃんを増やすのだ。
というわけでダブルで実験してみました。
マグちゃんをダブルで投入して洗濯回してみた。
初期値ph6.55
15分後ph9.00
30分後ph9.61
ダブルで入れたからと言って倍ほどもphが上がるわけではないけどシングルの時よりはやはりphは高くなった。 pic.twitter.com/3L7n07m1lP— もーりー@トイレ作ってる人 (@yusukemori87) 2018年7月27日
41Lの水に対して200gのマグネシウムを投入したときに、15分でpH9まで上げることができました。
あと100gくらい投入すれば15分でpH9.5まで行けそうな感覚です。
マグちゃんHPにおいて(pH値は9.5前後)とさらっと書いてますが40L以上の洗濯槽に対してたった1個のマグちゃんではとうてい出せない数字じゃないかという気がします。夏場でこの結果なので、冬とかだともっと酸化還元反応は鈍くなりそう。
あるいはもともとの水道水のpHがアルカリ寄りならまだ可能性はあるかもしれない。すべての家庭で「アルカリの洗浄力」を発揮するにはただ単に一個入れて回せばいいってもんでもないみたい。
40Lの洗濯槽に対して200〜300gくらいがいいような感じかなぁ。
とりあえずたくさん買おう。
マグちゃんは自作できる
マグちゃんは1個だけだとなかなか洗浄力を発揮しないのでは?というのがここまでの僕の結論なんだけど
じゃあ2、3個買った方がいいかというと、値段が高いのであまりオススメしません。1個4000円弱。
そこで、安くマグちゃんを入手する方法を紹介します。
Amazonで探すと実はマグちゃんの中身だけを売ってる業者さんがいて、それを買って適当なネットに入れればマグちゃんは自作できます。僕はダイソーのブラジャー用ネットを使用してる。
マグちゃん自作。当たり前だけど同じくらいpH下がります。コストは3/1。まだマグちゃんで消耗してるの?(それにしてもpH9.5までは全然下がらない。) pic.twitter.com/kJK8c80dYQ
— もーりー@トイレ作ってる人 (@yusukemori87) 2018年7月22日
100g単位でも販売されてるけど、思い切って600gくらいのを買うのがいいかも。多ければ多いほど洗浄力は高まるし贅沢使いしちゃおう!
ちなみにランドリーマグちゃんは100gで4000円だけど、自作なら100g1000円以下で作ることができます。
また、マグちゃんとの洗浄力比較ですが、ほぼ同じくらいと言えるでしょう。
自作マグちゃんのph測定結果。
初期値ph6.50
15分後ph8.45
30分後ph9.05正規品マグちゃんは
初期値ph6.08
15分後ph8.69
30分後ph9.28そんなに遜色ないね。 pic.twitter.com/7duYARGKIB
— もーりー@トイレ作ってる人 (@yusukemori87) 2018年7月27日
そういうわけでマグちゃんは自作するほうがいいと思う!
安いっていうのももちろんですが、ランドリーネットのチャックがポイント。いつでも中身を取り出せるっていうのがメンテナンスにおいて重要なのです。
※正規品はチャックがありません
マグちゃんはメンテナンスが必要!?
さて、洗濯槽の中で絶え間なく電子を放出しているMgは代わりに自らが酸化されています。
そうすると、Mg粒の表面が酸化マグネシウムに覆われて、徐々に還元力を発揮できなくなってきます。
ほって置くとこんな感じになってます僕の一番の売りのマグネシウムが酸化皮膜によって真っ黒に…これだと力が発揮出来ません~引用元;マグちゃんからのお願い。
このブログ主さんは「月に一度のメンテナンス」を提唱されています。
クエン酸水かお酢で20分ほど漬け込んで揉むと表面が還元されてピカピカになるそう。
毎日の洗濯で2週間ほどでこの写真のように黒ずんでしまうそう。
表面が酸化されている状態だとMgがうまく溶け出せません。
「そろそろメンテナンスかな」というタイミングを知るためにもチャック付きのランドリーネットで自作マグちゃんをつくるというのがいいのかなと思います。
相性のいいモノたち
マグちゃんで洗濯をするなら二層式洗濯機がいちばんいいかと思います。
「洗い」の時間を自由に設定できるからです。しっかり洗いたいモノは「洗い」の時間を長くすることでpHも上がります。
それから、pHメーターを持っておくと便利。還元力が弱くなってきたら「交換」のタイミング。マグちゃんは300回使えると謳われていますが「もう洗浄力切れたよー」っていうのは目視ではわからないですからね。
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たまにpH計突っ込んで「マグちゃん、ちゃんと働いてるー?」って確かめることが必要かも。
まとめと考察
今回マグちゃんの実験をしてみてわかったのは
-
- アルカリの洗浄力を発揮するのに結構時間がかかる
- 「つけおき」は効果がない
- 40Lの洗濯槽の場合、マグちゃんは一個では足りない
- pH初期値にもよるので住んでる地域の水道水のpHを調べた方がいい
ということですかね。
このへんの使い方を知らずに買って「あんまり効果なかったな…」という感想を抱く方もいるかもしれません。でもそれはすごく残念なことだなぁと。
僕としてはこの記事でマグちゃんを批判的に書いてしまった部分もありますが、マグちゃんすごくいい商品だと思います!
だからこの記事を読んで、正しい使い方を知っていただき、「洗濯洗剤」を卒業する人が増えることを願ってやみません。僕自身は正規品マグちゃん、それから自作マグちゃんを併用して、洗濯洗剤は一切使用しなくなりました。愛用しています!
このようにマグネシウムで洗濯ができるという発見をして、世の中に広めてくれた宮本製作所様には感謝です。
世の中をよくするアイデアってすばらしいー!いいものはぜひ使って広めましょう。
それから僕の未熟な化学の知識で語ってしまったので間違い等ありましたらご指摘ください。今回はアルカリの洗浄力のみに着目しましたが、「水素」の方にも洗浄力があるのかもなぁと思いつつ今回は触れませんでした。そのあたりもご意見お持ちの方はぜひ教えていただければ幸いです。