普段コンポストトイレを販売している僕ですが、やはり「水洗化してくれ」という要望は絶えないです。
実際使用している僕もたまに水洗トイレを使うと気持ちいいなと感じます。特に、ウォシュレットを使えるってのはいいですよね。
てことで、コンポストトイレの水洗化というのは僕の長年の夢でありテーマでした。
ある日ネット記事でたまたま「水循環トイレ」なるものを発見します。
浄化槽で一旦汚水を完全浄化したあとに再度トイレを流す水に再利用するというもの。
画像;三井住友建設
これだ!!
汚水を再利用するなんて発想はなかった!
ちくりんぱとおるさんは浄化した水をゴクゴクと飲んでいたし、微生物をうまく活用することで完全浄化は可能かもしれない!
このシステムなら水を新たに追加する必要がないので水源がない場所でもトイレ設置可能になります。
なんて素晴らしい発明品。
ただ、ちょっと調べてみると意外と結構このトイレを開発・販売している業者が多いんです。
そして値段が高価です、、、。
多くの人が安く導入できるように、DIYキットみたいな感じで部品売りで僕は参入しようかなと思ったりしています。
というわけで今回の記事は「水循環トイレを取り扱う事業者一覧」と「僕の水循環トイレ構想」というコンテンツでお届けします。
Contents
水循環トイレの販売業舎一覧
①株式会社湘南洋食器「アクアレットⅢ」
アクアレッ卜は、『活性汚泥法』を応用し、さらに進化させたシステムです。
- トイレの洗浄水を、《発酵促進微生物》の働きと独自のシステムにより分解・消臭。
- 更に『ヤシ殻活性炭』による漉週とオゾンによる浄化を行い、洗浄水として再利用。
- 洗浄水を循環させることにより、補給水をほとんど必要としません。
- 排濯物は、ほぼ分解され消滅、無臭化されます。
- 下水道への放流の必要がない『自己完結型』のトイレ。
- 水中ヒーターを内蔵させることにより、冬季聞の凍結もなく、不凍液も不要
- 据置きタイプのため、設置に伴う『掘削作業』はいりません。
ログハウスタイプ320万円
事務所タイプ280万円
メンテナンスについて
- 電源の確保~AC100V 10A 500Wh程度の電源が必要です。
- 月に1度、便器清掃の際に発酵促進微生物培養液を投入することで菌の分解活動が維持されます。
- 3か月に1回、漉週槽内のヤシガラ活性炭の洗浄が必要となります。(交換した生物処理担体と活性炭は次回交換用に再生処理します。)
- 槽の容量により、1日当りの使用回数に制限があります。(大小2室タイプ=最大連続使用100固/日)
- 定期的なメンテナンスは、別途メンテナンス契約のうえ、株式会社ミッシングが責任を持って維持管理に当ります。
②ニシム電子工業「TOWAILET(トワイレ)
電源設備の概要
- 一般的な従量電灯契約(AC100V)で動作します。
- 自然エネルギーでも動作します。(設置場所や気象条件で制約有)
- 蓄電池を備えており、災害時等の電力インフラ停止時にも最大で3日間(72時間)動作します。
- 電源消失時には、補助電源として発電機での充電や運転が可能です。
熊本県上天草の自治体に採用されたそうです。
https://www.nishimu-products.jp/blog/towailet/05
TOWAILET2室タイプ
項目 | 製品仕様 |
---|---|
トイレ室タイプ | 2室(洋式大便器) |
処理方法 | 微生物分解処理+フィルター処理 (接触ばっ気方式、活性汚泥法) |
処理能力 | 100回/日 ※1 |
最大受入量 | 1,000回(320ℓ)※2,3 |
最大洗浄回数 | 300回/日 |
1回の処理水量 | 6ℓ |
本体質量 | 2.6t |
使用状態質量 | 5.0t(初期投入水量 2.4t)※4 |
トイレ室内寸法 | W:1,240 × D:900 × H:2,040 mm |
外形寸法 | W:5,000 × D:2,150 × H:2,250 mm |
商用入力 | AC100V±10% 50/60Hz |
独立電源システム | 太陽光パネル出力:約1.28kW (320W×4枚)リチウム電池容量:13.2kWh (不日照動作72時間 ※5,6 ) |
消費電力 | 100~600W(ポンプ等の稼働により変動) |
周囲温度環境(推奨) | 0℃~40℃(処理水が凍結しない温度) |
システムメンテナンス | 年1回 以上 ※7 |
値段
2000万弱(どひゃぁ)
明らかに個人事業向けではないですね。自治体向けの商品って感じです。
③株式会社HMエスパス「SEIRYU」
1000L程度の少量の水で何度でも繰り返しトイレを洗浄し、かつBOD、CODを低下させ、汚泥の量を少なくする微生物処理と活性汚泥処理を組み合わせた無放流型水循環式簡易水洗トイレの浄化システム(特許取得)を用いた最先端のECOトイレが「清流」です。
1日10人で3ヶ月で汲み取りとのこと。
値段
700万円ほど。
参考 株式会社HMエスパス清流④OXUM(オシュン)
値段
280万円〜
参考 OXUM⑤永和国土環境株式会社アクアメイク
⑥近建ビル管理株式会社
立山連峰の山小屋に設置されているそうです。
参考 近建ビル管理株式会社⑦若狭工業株式会社「newto」econowaユニット
値段
350万円〜(←いちばん小さいやつ。1日5回の使用)
参考 若狭工業株式会社newto⑧株式会社e6s(えしっくす)
日本大学工学部・土木工学科 中野和典教授による「ロハス工学を使ったトイレの研究開発」をベースに、災害でも使えるトイレにアップグレードして2022年4月の販売を目指しています。
ロハスのトイレの受賞歴
- 2016年
- 第53回環境工学研究フォーラム環境技術・
プロジェクト賞(土木学会環境工学委員会)
- 2020年
- 日本トイレ協会 グッドトイレ選奨
参考 e6s
⑨大橋今右衛門ウォータス
モーリー
この動画を見たらわかるんですが、常に水が流れ続けています
通常の汲み取り式トイレは、室内上部から排気するため、室内がどうしても臭います。ウォータスはベンチレーター(換気扇)で気流を作り、便器から下部タンクを通って排気するため、室内は限りなく無臭な状態となります。
Q: 汲み取りは必要ですか?
A: 1年に1度は汲み取りをしてください。また集中して800回程度使用するとオーバーフローしますので、汲み取りが必要となります。オーバーフロー時には便器ちかくにある満水ランプが点灯します。点灯から50回程度は使用できますが、できるだけ早く汲み取りを行ってください。
Q: 使用人数は何人ですか?
A: 冬で5~6人、春と秋で7~8人、夏で10~15人と季節によって異なります。※1人が1日4回使用する計算で、1日の使用回数にすると冬で20~24回、春と秋で28~32回、夏で40~60回程度となります。
気温の高くなる夏場ですと、タンク内の水がよく蒸発し、微生物も活発なため、よく分解するので処理能力(使用人数)が高くなります。(気温が低いと、その逆になります。)
また観光地などで、週末や休日に使用頻度が高まる場合でも、平日に使用回数が下がるのであれば、適切に処理されます。
値段
プラスチック製92万円/木製170万円
参考 大橋今右衛門ウォータス⑩長大北栄工事/Aqua Quality
複合発酵菌を活用した水循環トイレ。
大腸菌がゼロになるというのは眉唾ですが本当だったらすごい。
参考 AQパンフレット 参考 SDGs WEEK expo長大 / 北栄工事11三井住友建設/
◎循環式バイオトイレのメリット
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◎循環式バイオトイレのデメリット
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水循環トイレなのに杉チップを併用するというかなり興味深い設計。
参考 三井住友建設バイオトイレモーリーの構想
さて、水循環トイレについて一通り調べあげました。
おさらいすると、水循環トイレとは流した汚水を浄化して再度トイレの流水に使用するというものでした。
いくつかの事例を見て多くのヒントを得られた気がします。ということで僕の水循環トイレ構想を発表します。
トイレ〜浄化槽部分
図で表すとこんな感じです
シンプルに便器と浄化槽を繋げただけですね。浄化槽の中身は先例にならって嫌気層と好気層を作り適切な微生物資材を投入します。牡蠣殻を使うアイデアもパクりたいですね。
汚水槽つきの仮設トイレをベースに使います。楽天で24万円くらいで販売されてる。
仮設トイレの足元部分には汚水槽が200リットル弱くらいあって、普通の仮設トイレの場合はこれが満タンになる前にせっせと汲み取るワケなのだけどここに浄化槽を繋げます。
僕の場合は中国から2.5立米4層の大型浄化槽を購入しました。送料とか諸々合わせて1つ12万円くらい。
もっと小さくて安いやつが良いという方はこんなんどうでしょう。52000円くらい。(「便槽」であって浄化槽ではないかもしれないので注意)
電源
使用する電気的装置としては以下の6つ
他の水循環トイレの電気設備の説明を見たら「1日500Wh」と書かれていたけどだいぶ少なく見積もってない?
ブロワーと換気扇だけでも30W×2×24hで1440Wh/日。1ヶ月で43.2kWh。電気代にして1ヶ月750円〜1000円程度。
ウォシュレットや便座ヒーター、水中ヒーターを使うとなるとこの倍くらい電力使うのではないだろうか。
電源の来ている場所なら電力会社と契約するのがベストだけど電源がない場所ならオフグリッドシステムを導入。
トイレ小屋の屋根にソーラーパネルを設置して室内にポータブル電源を置く。ポータブル電源の容量は大きいに越したことはない。2000Wh以上はほしいところ。
こちらのeenourの機種がコスパ良さそう。
ポータブル電源20万円とソーラーパネル5万円で25万円程度でしょうか。
構造
構造は特に目新しいものはなく、多くの水循環トイレと同じようなシステムです。
ひとつ言えるのは浄化槽タンクをかなり大きめの2.5立米タイプにしているので処理可能人数も多いと思われます。
汚水槽、嫌気層、好気層と来て最後に殺菌槽を入れてトイレに再利用という流れが多くのトイレで採用されていましたが僕のトイレは殺菌槽というのは特に用意せずやってみたいと思っています。
「複合発酵菌」を使用した長大北栄工事/Aqua Qualityさんは殺菌槽なしでしたね。微生物のみの力で完全浄化、僕もこれを目指してみたいと思っています。
構造は他の水循環トイレとほぼ一緒なので重要なのは「何の菌を投入するか」だと思います。
今使ってみたいと思っているのは微生物活性剤のバクチャーというもの。開発者が浄化した汚水をゴクゴクと飲んでいました。
俺も汚水をゴクゴク飲みてぇ!そしてドヤ顔してぇ!
あとどのトイレも触れていませんでしたが水分が必ず過多になりオーバーフローが生じます。
その分の液体は畑に自動で浸透するように浸透ホースを配管しようと思っています。
原価
汚水タンク付きトイレ24万円(2室なら×2)
浄化槽12万円
ポンプ、換気扇等3万円
ソーラーパネル5万円
ポータブル電源20万円
合計64万円
といったところです。オフグリッド電源システムを入れなければ39万円。いやぁ、ウォータスがいかに良心的かというのがわかりますねぇ!
今気になってる「水循環バイオトイレ」の分野を一通り調べたのだけど10社以上事業者がいました。全然知らなかった。
中でも僕は「ウォータス」に感動。水が常に循環してるところに排泄物を産み落とす。流れてる水は常に無色無臭。なんで。
そして追加の水が不要。92万円。https://t.co/IwR1RxrzYd pic.twitter.com/1wFlC42PGw— モーリー@ecoばか/コンポストトイレ販売中 (@yusukemori87) September 8, 2022
僕が完成品として販売するなら92万円なんてとてもじゃないけど収まらないですよ。
ま、完成品は販売するつもりもないですけどね〜。売るなら浄化槽単品とか汚水槽付きトイレ単品とかで売ると思います。
導入したい人、挙手!
さて、現在このトイレを導入したいという方を募集しています。
1基は関東のキャンプ場様に決まりそうです。そしてもう1基分材料を仕入れておりますので実験台になりたい人を募集します。
価格はだいたい上記の通りです。実験台ということで原価で設置しに行きます(別途交通費も)。
1基はキャンプ場に決まりそうなのでもう1基は個人宅に導入したいなぁ。経過も見たいので北陸近辺でお願いします。
ピンと来た方はご連絡ください。
ecobakacreation@gmail.com
まとめ
はい、そういうわけで水循環トイレをまとめてみましたー。
いやぁ、すごい発想、すごい発明ですよね。
多少電気は使うものの、水資源を使わない、土地を汚さない。環境にめっちゃ良いじゃないですか。
汚水が浄化されて透明になって再度トイレに利用されるなんてロマンすぎます。
ただ、分解能力を超えるとそのうちに汲み取りが必要になってきます。
僕が感動した「ウォータス」は「1年に1度」の汲み取りを推奨していました。
やっぱり完全メンテナンスフリーというわけにはいかないのかもしれません。
トイレットペーパーを流さないというルールを定めるだけで汲み取りの回数はかなり減らせそうですけどね。
色々実験のしがいがあるなぁ〜〜。