全てが斬新すぎる。エコビレッジサイハテに行ってきた!

2011年。東日本大震災のあと。

頭の中がぐちゃぐちゃになって、それまでの価値観もガラッと崩壊して、これからどうやって生きていけばいいんだろうと混迷の中にいたとき。

「これだ!」と思える、新しい生き方を雑誌の記事の中に見た。

それが、今回訪れた「エコビレッジ・サイハテ」だった。記事には1万坪の広大な土地と建物を入手して、そこを「村」として開村した男が写っていた。彼の名前は工藤シンクと言った。彼のビジョンに度肝を抜かれて喰い入るようにその記事をなんども読んだ。

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それからこの雑誌のバックナンバーを買いあさってみたけれど、特に震災後の3冊は強烈に「これからどう生きていくのか?」をグイグイと突きつけてくる内容だった。初めて、「魂」のようなものを感じる雑誌と出会った。この雑誌は僕の人生に影響を与えるどころか、僕の人生そのものを変えてしまった。

「ノグソ」の井沢さんを初めて知ったのも、災害後のスペクテイターだった。

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(上記3冊はバイブルのようになんども読み返した。必読!)

さて、話をサイハテに戻す。

サイハテを知ったとき、僕の気持ちは「悔しい」というものだった。これこそが僕自身のやりたかったことだったからだ。つまり、広大な土地を手に入れ、「国家」や「世俗」と隔絶された小さな村を作り上げるーいわば独立国家のようなものーといったことが僕の本当にやりたいことだった。こういう人たちを「ヒッピー」と呼び、こういうコミュニティをかつて「コミューン」と呼んでいたということは後から知った。

ずっと見に行きたかったけれど、タイミングが難しかった。突然訪れるのは好きではない。できるだけ自然な流れで訪れたい。そもそもヨソ者に対して開かれた場所なのか?そうして行くチャンスを伺いながら悶々としているとサイハテにゲストハウスができるというプロジェクトを見つけた。

ああ、これで行きやすくなるなと感じた。

そうして今回熊本への帰省に合わせて帰りの道中で一泊お邪魔させてもらった。

サイハテ村を知ってから実に6年が経っていた。やっと念願が叶った!

エコビレッジサイハテとは

ここで改めてサイハテの詳しい説明をしておきます。※ここからはいつものです・ます調に戻します(笑)

 

サイハテ村(正式名称:三角エコビレッジサイハテ)とは、楽園デザイナーの工藤真工が発起人となり、2011年11月11日に開村した衣食住+文化循環型のエコビレッジ(※1)です。[サイハテ村HP]

農地4千坪を含めた約1万坪の敷地に、コミュニティスペースや各種工房、個々の居宅を合わせて19棟の建物があります。現在の住人は子供たち9名を含む26名。大工、縫製作家、猟師、家具職人、映像クリエイター、マッサージ師、タイル職人、アースバッグビルダー、ペインター、照明作家、ヨーガインストラクター、歌手、パーマカルチャーデザイナー、etc…と、年齢もスキルも幅広いクリエイター達で形成されています。

開村約1年後のサイハテ村の様子などをまとめたコンセプトムービー“SAIHATE LIFE”もよかったらご覧ください。【https://www.youtube.com/watch?v=9NQrdpwA-Bw】

サイハテには19棟の家があり、30人ほどの人が暮らしています。

下の図のように縦長の敷地に家々が点在しており、これほどの人数と敷地があるともはや「集落」、まさにビレッジですね。(もう少し小さいのかと思ってた)

サイハテ村フィールドマップ

サイハテの成り立ち

サイハテのある場所はもともと福祉関係の施設跡地だったようです。

その時にこの土地が整備され、建物が建てられ、畑も作られたのだそう。

そしてその企業が撤退。しばらく放置されていたところに、サイハテ発起人の工藤シンクさんがこの土地を購入し、開村。10名の仲間と村づくりを始めたそうです。

現在開村からまる7年。ほとんどの建物は美しくリノベーションされて、とても快適な村になっていました。最初は廃墟で荒れまくっていたというのが嘘のよう。ここまで来るのは大変だっただろうなぁ〜。。

サイハテのルール

これ、雑誌で読んだ時からいいなあと感じていたんだけど「お好きにどうぞ」がコンセプトだそう。ルールや「村長」もない。みんなが対等。お好きにどうぞ。

本当にみんなが思い思いに自分のペースで暮らしているのが感じられました。

サイハテの様子がよくわかる動画(ナニコレ珍百景)

サイハテ村が民放で放映されたそうです!まだ見てない方は必見ですよ〜

ゲストハウスに泊まってみた

僕たちがサイハテに着いたのは夕暮れ時。海が見渡せる場所にサイハテ村はありました。

今回泊まらせていただいたのはこの建物。

自炊のできるキッチンと、リビングにはこたつ。

とても快適に過ごせましたよ!

宿泊費

宿泊費は大人一泊2500円。安い!

中長期の方は一泊2000円で宿泊できたり、労働力を提供することで無料で滞在することもできるそうです(=サイハテインカム)。このインカム制度で滞在している若い人が数名いました。

1日6時間週6日村のお手伝いをする代わりに寝食を提供される制度によって月700時間を超すマンパワーが増強されサイハテ村の大きな原動力になる。

WWOOFのような仕組みですね!

設備

共同キッチンは室内と、屋外にもおくどさんのようなものがありました。寒くて今回は室内で過ごしたけれど。

それから驚くべきは水洗トイレ!!しかもドア開けるとウィーンって自動で蓋が開いて、しかもウォシュレットまであった!!エコビレッジというものだからてっきりコンポストトイレとかかと思ったので「うおっ、そう来たか」って感じでした。やっぱりゲストハウスは誰が来ても快適に過ごせる設備にするのがいちばん。

他にもシャワーはあるし、「普通の」ゲストハウスに備わっているものは全てありました。調味料もあるので自炊したい人もOK。

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サイハテ案内ツアーに参加。

ゲストハウスに宿泊した人は翌朝の「サイハテ案内ツアー」に参加できます。

案内してくれたのはサイハテのコミュニティマネージャーの坂井勇貴さん。

坂井さんは一見ヒッピーのように見えるけれど中身はバリバリの経営者。

「経営」の観点があるからこそ、村づくりがここまでうまく成功しているのだと感じました。

坂井さんは初期からのメンバーではないそうですがサイハテ村のキーマン、というかブレイン的な役割の人という印象を受けました。

さて、サイハテ村ツアーの内容をサラッと紹介します。ここは木工室。

電動工具類はほとんどが元々この物件に付属してたんだって。

ここは陶芸室。この「窯」も元々付いていたそうな。今は陶芸家が住人にいないから稼働していないとのこと。もったいない!

アーティスト住人の各アトリエ。こんな素敵な作業部屋が5〜6個くらいあったかなぁ。染色工房、服飾工房、アクセサリー工房などなど…

なななんと、リラクゼーションサロンまで。一体なんなんだ、ここは。

そしてサイハテといえばここ。カフェ&シェアオフィス。この、みんなが集って遊べる空間は村の重要な要素だと思う。

 ã‚«ãƒ•ã‚§&シェアオフィス

他にもサイハテ発起人の工藤シンクさんの映像スタジオもあったり。畑や養鶏は当たり前のようにやっていて、ヤギや犬など色んな生き物・人種がそこには混在して共生していました。

見た限り、まだまだ片付けて改装すれば工房になりそうなスペースはあったのでこれから住人になる人もサイハテ村でナリワイを生み出すことはできそうな感じでした。

なんでもできる場所だなぁ!

元々あったもの(スペースや工具など)を生かしつつ、自分たちで手を加えて「仕事」と「暮らし」の拠点を整備する。そしてちゃんと経済活動もしっかりやる。これができる住人、いわば自立している住民が集まっているからこそこの村は「お好きにどうぞ」が成り立っているのだと感じました。

仕事を生み出すための資金調達も自分たちで。


女子力アップ!! 染色系女子によるサイハテ村×藍染プロジェクト-CAMPFIRE


エコビレッジサイハテに癒しのスペース、シェアサロンを作りたい!-CAMPFIRE

僕が見たサイハテ

見学ツアーの後、ゆうきさん、工藤シンクさんとお話することができました。6年前に雑誌で見たあの人物。

僕はここに来る前サイハテはヒッピーたちの集まりで、お金など世俗のものを切り離して暮らし、自給自足の生活を送る人たちの集まりだと思ってました。

でも実際にはむしろお金と上手に付き合いながら、最先端な技術なども導入しつつ新しい形の国づくりが行われている場でした。完全に切り離してるわけではないんだなぁ。いい具合に世間と交わりつつ「電気ガス水道・政治経済がストップしても笑っていられる村づくり」を目指していました。

確かにそういった社会システムがストップした場合でも生きていけそうなコミュニティ(畑もあるし、鶏もいる)。

でもインフラはどうかというとまだまだ自給的ではないなと感じました。暖房は石油だったしトイレは水洗で下水システム完備。煮炊きにはガス。そこは正直「あれ?」と思ったし「ああ、俺はきっとこの村に貢献できる」と思いました。と同時に納得。きっとこの「不完全さ」が余白であり人を惹きつけるのだろうと。そして僕は知らず知らずに自分がこの村の住人だったら…という妄想をしていたのです。こうやって住人がどんどん増えていったのですね。

工藤シンク

電気は自給したいけどソーラーが答えじゃないと思うんだよねぇ

という開村者。理想はたぶん、ある。でも全部自分ではやらない。だから人が集まる。「お好きにどうぞ」で村がどんどん作り上げられていく。「最初から全部決めない」「余白を残す」っていうのがこの村づくりのうまくいっている秘訣なのかもしれません。

 

すっかり長くなったので(約4000字)、雑なまとめですがこれで僕のサイハテ訪問記を終わります。

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おまけ。

↓ブランコ恐怖症の妻が巨大ブランコで死にそうになっているの図↓