こんにちはモーリーです。
僕は和歌山県の熊野川町という場所で古民家宿を運営しています。
でもこれ、普通の宿ではなくて大手電力会社と契約していない宿なんです。
ソーラーパネルで発電した電気を蓄電池に溜めて使っています。
夜間も、雨の日もそれでまかないます。2年半運営してみて停電は経験したことがありません。
1週間雨が続いたときでも電気が不足することはありませんでした。
でもひとつ問題がありました。
それは夏のエアコン問題です。
これまで2回の夏をエアコンなし(扇風機のみ)で乗り越えましたが今年は思い切って関西電力さんと再契約し、エアコンを導入することにしました。
【オフグリッドやめます】
古民家を改装して、電線を取っ払って、ソーラーと蓄電池だけで電気をまかなう《電力自給ゲストハウス》を2年半やりましたが夏にエアコン無しって下手したら死人が出るので思い切って導入
エアコンだけは関電にお世話になることにしました。
信念より人命もとい人権が大事 pic.twitter.com/XtQYfPiYlj
— 森雄翼(モーリー)@オフグリッド発明家 (@yusukemori87) July 25, 2019
今日はその理由をお伝えします。これからオフグリッドを目指したい人にとって参考にしてもらいたい考え方なのでぜひ最後まで目を通してみてください。
エアコンだけはオングリッドにした理由
オフグリッド生活を送る仲間で、エアコンをオフグリッド電気で使用している人はほぼいないです。
なぜならエアコンの電力消費量はかなり大きく、それを動かそうと思ったらパネルや蓄電池を増設しなければならないからです。エアコンが本当に必要なのって夏の1ヶ月〜2ヶ月くらいだけどそのためだけに貴重な資源を投下するのって合理的じゃない。
完全オフグリッドに固執する必要はないと僕は思っているし、ちょうどいいバランスでやるのが大事だと思います。エアコンだけは電力会社の電気に頼る。それが僕のちょうどよさでした。夏にエアコンなしっていうのは熱中症になるレベルです。僕は「オフグリッド」という信念よりも健康に過ごせるということの方が重要だと思います。
電力会社の基本料金の月300円は保険である
エアコンを動かしたいという動機のほかに、もうひとつ関電と契約再開した理由があります。
それは「バックアップ電源の確保」。
僕が完全オフグリッドをやってみたときに改めて感じたのがやっぱり電気が不足することへの恐怖、です。
照明がつかないくらいだったらろうそくでなんとかなるかもしれませんが、
冷蔵庫や洗濯機が使えない、あるいはパソコンやケータイの充電ができないというのはときに致命的な危機になってしまいます。
なのでやっぱり、完全オフグリッドよりもバックアップとして大手電力会社と契約はしておいた方がいい、というのが2年半オフグリッドをやってみた結論です。もし電力会社の電気を一切使わなかったとしても基本料は月々300円程度のもの。安い保険みたいなもんです。
従量電灯A | 基本料金 | 含まれる電力量 |
関西電力 | 334.82円 | 15kWh |
東京電力 | 231.55円 | 8kWh |
北陸電力 | 178.07円 | 8kWh |
東北電力 | 257円 | 7kWh |
中国電力 | 320.15円 | 15kWh |
九州電力 | 309.06円 | 12kWh |
直流家電で揃える場合はコンバーター、交流家電で揃える場合は電源切替機を
バックアップとして電力会社の電気を使う場合は、必要な機材が増えます。AC-DCコンバーター、あるいは電源切替機です。家電を直流家電で揃えるか、交流家電で揃えるかで変わります。
通常、ぼくらが使う家電製品は交流100Vで作動します。大手電力会社から送電される電気が交流100Vだからです。しかしオフグリッドで貯める電気は直流電気です。直流の電気では交流100Vの家電を動かすことはできません。なので通常オフグリッド電力=直流電気は100V交流に変換して使用するのが一般的です。
しかし世の中には直流12V/24Vで作動する家電というものもあります。車内用の家電製品等はそうです。シガーソケットから給電されます。
LED照明をはじめ冷蔵庫や掃除機、ドライヤーに電子レンジまで。あまり知られていませんが世の中には意外と直流家電が揃っています。
12V直流で動く家電一覧〜オフグリッドや車中泊に!ぼくのゲストハウスはほぼ全て直流家電で揃えています。なぜならオフグリッドでソーラーから貯めた電気は直流電気で、それを交流に変換すると電力ロスが発生するからです。そのロスがもったいないので僕は直流家電を採用し、直流電気を直流のまま使用しています。
こういった直流家電で揃えた家で電力会社の電気をバックアップに使用する場合は電力会社の交流電気を直流に変換するコンバーターが必要になります。
今回僕のゲストハウスはエアコン用コンセントとは別にバックアップ用のコンセントも取り付けてもらったのでもしものときにはAC-DCコンバーターで100V→12Vに変換して停電を回避したいと思います。
また、交流家電で揃える場合にはバックアップ用に「電源切替機」を使用すると、オフグリッド電気が不足した時に自動で電力会社に切り替えてくれるので便利。
電源切替器でハイブリッドなオフグリッド!豊島の個人宅を電気工事してきたよまとめ
ちょっと長い文章になってしまいましたが何が言いたかったかというと
モーリー
ってことです。完全オフグリッドは「環境破壊に今後加担しない!」という爽快感は得られるものの、安心か不安かと言われたらやっぱり少し不安があります。よほど潤沢な資金があって、壮大なシステムが組むことができるなら話は別です、でもそれもどうかなとは思いますが。
やっぱり、オフグリッドシステムはミニマム設計にしておいて、バックアップとして電力会社と契約はしておく。これが数年の葛藤を経ての僕なりの結論です。
原発と縁を切るために始めたオフグリッドですが、自分が我慢したり健康に不安を抱えてまで信念を貫く必要はないのではないかなと考えるようになりました。
各々の「ちょうどよさ」でいいと思うんです。できるところから、無理のない範囲で。そうやって徐々に変化が生まれていけばいいなと思います。
どうしても原発の電気は使いたくない…と言う方は、お住いの地域で再生可能エネルギーを供給している電力会社を選んでみるといいですね。そうやって、多くの人がよきあんばいでオフグリッドを一部分だけでも導入する、それが当たり前になる。そういう未来になればいいなと思います。
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